愛知県水田転作ダイズほ場における帰化アサガオ類の発生状況


[要約]
転作大豆ほ場における帰化アサガオ類の発生は1996年頃から急激に拡大しており、転作が3年間固定される地域で多くなっている。ほ場内の発生に前作は関係なく、前作水稲の場合であってもアサガオは多発し、難防除雑草として問題化している。防除方法として、土地利用方式の見直し、畦畔や稲収穫後の雑草管理等の対策が有効である。

[キーワード]ダイズ、転作、帰化アサガオ類、発生状況、雑草害

[担当]愛知農総試・作物研究部
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 愛知県のダイズ作付けの中心地である西三河地域のダイズほ場では、難防除雑草である帰化アサガオ類(以下「アサガオ」)の発生が目立つようになってきた。とくに近年、アサガオの発生による収穫等作業性の低下が問題視されてきており、多発地域の農家からは防除法の確立について強い要望が出ている。
 そこで、愛知県内での発生状況を調査するとともに西三河地域の農家からの転作履歴との関連等について聞き取りを行い、今後のアサガオ対策の基礎資料を得る。

[成果の内容・特徴]
1. アサガオは県下の平坦地を中心に発生し、とくに西三河に多い。(図1
2. 西三河地域で発生しているアサガオはIpomoea属の4種で、マルバアメリカアサガオ(Ipomoea.hederacea Jacq.var.integriuscula A.Gray)が最も多く、次いでホシアサガオ(Ipomoea triloba L)、マメアサガオ(Ipomoea Lacunosa L.)、マルバルコウ(Ipomoea coccinea L.)の順である(表1)。西三河地域の中でも、アサガオが発生するほ場が多くかつほ場全面に繁茂が見られた地区は、安城に集中する。
3. アサガオの初発生は1984年頃に確認されていたが、1996年以降急激に発生地域が拡大している。安城市内の3年間転作が固定する地域では1996年頃から発生が確認されているのに対し、周辺市町では1999年頃からの発生が多い(表1)。
4. アサガオは、前年の作物に関係なく全面に繁茂する場合がある(表1)。
5. 発生状況の調査から、(1)同一ほ場で2から3種が同時に発生(2)ほ場内での発生が少ない場合では、アサガオが畦畔からほ場内へ侵入している例が多いことも判明した。
6. ダイズ、イネへの影響について、農家はコンバインへの蔓の巻き付きや玄米へのアサガオ種子の混入を問題視している(表1)。なお、種子が混入した水稲品種を聞き取った結果、すべて中生種のあいちのかおりである。
7. アサガオ除草に関する聞き取りの結果、効果があると回答されたのはビアラホス液剤のみである(表2)。また、アサガオはコシヒカリの収穫後に種子の生産をするので稲刈取後に耕起を行っていると回答した農家が2戸あった。
8. 各種茎葉処理型除草剤の効果について裸地ほ場で試験した結果、ビアラホス液剤とグルホシネート液剤では極めて高い除草効果があるが、ベンタゾン液剤では生育を抑制するが枯死はしない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 発生状況の調査は西三河地区のみで行った。発生状況の調査を行った地区は、すべて転作のブロックローテーションを実施しており、転作期間は1年から3年である。
2. ベンタゾン液剤は、ダイズに対する農薬登録はないので使用しないこと。
3. 帰化アサガオ類の防除には、転作ブロックローテーション期間の見直し、畦畔の雑草管理、コシヒカリ収穫後の除草管理の改善が有効である。
4. アサガオ種子が混入している屑ダイズ等をほ場へ還元しない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:沖積地帯対における高生産性ダイズ栽培技術の開発
予算区分:ブランドニッポン(2系:大豆)
研究期間:2004年度
研究担当者:平岩確、小西敏郎、濱田千裕、谷俊男、稲垣一嘉、落合幾美、林元樹、井上勝弘

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