「ハナエチゼン」のいもち病真性抵抗性同質遺伝子系統「越南IL1、2、3、4号」


[要約]
「越南IL1号〜4号」は水稲「ハナエチゼン」にそれぞれいもち病真性抵抗性遺伝子PikPitaPita-2Piz-tを戻し交配により組み込んだ同質遺伝子系統である。

[キーワード]水稲、ハナエチゼン、いもち病、真性抵抗性、同質遺伝子系統

[担当]福井農試・水稲育種部・育種研究グル−プ
[連絡先]電話0776-54-5100
[区分]作物・稲、関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 「ハナエチゼン」は平成3年度に福井県、徳島県で採用されて以来、現在は富山県、石川県、島根県、広島県、兵庫県などで約9,000ha栽培されている。良質、良食味の早場米品種として評価が高く、早生の基幹品種となっている。「ハナエチゼン」は真性抵抗性遺伝子PizPiiをもつが、いもち病が発生するようになった。
 「ハナエチゼン」のいもち病真性抵抗性同質遺伝子系統は、減農薬栽培を可能にし、生産コストの低減がはかられ、食の安全性を求める消費者からの減農薬米に対する要望に応える系統である。

[成果の内容・特徴]
1. 「越南IL1号〜4号」は1995年に福井農試において、「ハナエチゼン」を母親とし、「東北IL3号(Pia,k)」、「東北IL6号(Pia,ta)」、「東北IL7号(Pia,ta-2)」、「東北IL8号(Pia,z-t)」、をそれぞれ一回親として交配し、その後、いもち病菌(レ−ス047.0)の接種により目的とする真性抵抗性の有無を確認しながら、「ハナエチゼン」を4回戻し交配し、その後代から育成された系統である。
2. 「越南IL1号〜4号」の特性は、いもち病真性抵抗性以外は「ハナエチゼン」と同質である。

[成果の活用面・留意点]
1. 適応地域は北陸・関東以西の地域である。
2. これらの系統を混合栽培することにより、いもち病の発生を抑制することができる。
3. いもち病菌のレ−スの変化をみながら混合する系統および割合を決める必要があり、種子は毎年更新する。
4. いもち病防除以外の栽培法は「ハナエチゼン」に準じる。
5. 福井県でこれら同質遺伝子系統を「ハナエチゼン」に替えて普及することを検討中である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題:いもち病同質遺伝子系統の育成
予算区分:指定試験・同質遺伝子系統緊急作出事業
研究期間:1995〜2004年度
研究担当者:冨田桂、寺田和弘、田野井真、小林麻子、堀内久満、田中勲、山本明志、見延敏幸、古田秀雄

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