チューリップ条斑病の防除対策に利用できる品種抵抗性特性


[要約]
チューリップ条斑病に対する抵抗性には品種間に大きな差異が認められ、国内主要品種225品種のうち22品種が極強と判定される。抵抗性極強品種は伝染源になりにくいため、圃場の汚染程度を高めず、本病の被害軽減に有効である。

[キーワード]チューリップ、条斑病、品種、抵抗性

[担当]富山農技セ・野菜花き試験場・花き課
[連絡先]電話0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境、共通基盤・病害虫(病害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 チューリップ条斑ウイルス(TuSV:仮称)によって引き起こされるチューリップ条斑病はOlpidium brassicaeによって媒介される土壌伝染性の難防除病害である。本病による被害を軽減するには、抵抗性品種の利用が最も有効である。そこで、国内の主要品種について本病に対する抵抗性を評価し、抵抗性品種を利用した安定生産および新品種の育成を推進する。

[成果の内容・特徴]
1. 本病発生圃場で2作後、無病土(ポット)で1作した225品種の開花期におけるTuSV感染率には大きな差が認められる(図1)。
2. 感染率が極めて低く抵抗性程度が極強と判定される品種は22品種あり(表1)、これらは抵抗性品種を育成する上での素材として有望である。22品種の中で‘白雪姫’、‘化粧桜’、‘バレリーナ’および‘ユアン’は微斑モザイク病にも強い。
3. 自然突然変異(芽条変異)により生じた品種の抵抗性程度は母品種とほぼ同程度であり(表2)、抵抗性程度が強い品種の自然突然変異株は抵抗性新品種として活用できる。
4. 抵抗性極強品種の伝染源ポテンシャルは低く(図2)、伝染源になりにくいため、本病の被害軽減に有効である。

[成果の活用面・留意点]
1. 各品種の抵抗性程度に応じた作付け圃場の選定および植付け時期の決定などの防除対策に活用できる。計画的な品種更新の判断基準としても活用できる。また、抵抗性品種育成にあたっての交配母本選択の参考となる。
2. 抵抗性品種の栽培においても、罹病株の抜き取り等の基本防除技術を併せて徹底する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:土壌伝染性ウイルスの生物的制御技術の開発
予算区分:指定試験
研究期間:2001〜2004年度
研究担当者:多賀由美子、守川俊幸、森井 環

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