機能性の高い暗渠疎水材


[要約]
暗渠排水の疎水材にはもみ殻を加工処理したもの、または杉チップを利用することにより、耐久性や透水性が高まり環境への負荷が軽減される。

[キーワード]暗渠排水、疎水材、もみ殻、チップ

[担当]新潟県農業総合研究所・基盤研究部・栽培環境、生産工学
[連絡先]電話0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 転作面積の拡大の中で疎水材(もみ殻)の腐食による耕盤の陥没等の暗渠排水機能低下等が問題視されている。そこで、もみ殻の防腐加工処理する方法を開発するとともに、もみ殻に替わる疎水材としての杉チップの耐久性を生かし、疎水材機能の維持、向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 暗渠管内には大気と同程度の酸素が存在しており、もみ殻の腐食は暗渠排水施工後に酸化的条件下で微生物による分解を受けて進行する可能性が高い(表1)。
2. もみ殻に以下の防腐加工を施すと耐久性が向上する(図1)。
  アセチル化;酢酸ナトリウムを触媒とし、無水酢酸を噴霧後、マイクロウェーブ加熱。
  半炭化  ;無酸素状態で220℃、10分間加熱。
  柿渋塗布 ;柿渋水溶液(1:1)を噴霧して自然乾燥。
3. もみ殻を防腐加工処理したことにより透水性は向上し、セルロース分解菌の増殖が抑制される(表2)。
4. 杉チップは透水性に優れ、また腐食も遅く疎水材として適している(表2)。
5. 杉チップは排水水質からみて環境への負荷が軽減される(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 防腐加工処理したもみ殻は従来のもみ殻と同様に施工することができる。また、杉チップは2cmのふるい目を通過した平板状のものを用いた結果である。
2. 杉チップは主に間伐材を利用することから、林政面でも資源活用が図られる。
3. 杉チップの利用にあたっては資材単価や供給量、施工歩掛等を比較調査する必要がある。
4. 暗渠排水工事では大量にもみ殻を使用するため半炭化やアセチル化、柿渋塗布の加工処理体制を整えカントリー施設等に併設する必要がある。一方小規模な施設園芸等では比較的簡単に半炭化や杉チップでの活用施工が期待出来る。
5. もみ殻の加工処理技術を利用する際は、新潟県へ特許の許諾申請を要する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:地域流通を活かした複合営農推進のための水田高度利用技術の確立
予算区分:県単特別
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:白鳥 豊、宇佐美茂昭、前田征之、志賀智和
発表論文等:「暗渠充填材」として特許出願(特願 2002-97535)

目次へ戻る