飼料イネの重要害虫イチモンジセセリは麦間直播栽培で発生を抑制できる


[要約]
埼玉県の米麦二毛作地帯において、飼料イネの麦間直播栽培は、慣行の麦あと飼料イネ栽培に比較してイチモンジセセリ(イネツトムシ)第2世代幼虫の発生を抑制することができる。

[キーワード]飼料イネ、イチモンジセセリ、防除、米麦二毛作

[担当]埼玉農総研・生産環境担当
[代表連絡先]電話048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・総合研究、関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料イネは、麦あと移植においてイチモンジセセリが著しく多発して、葉が食い尽くされる被害が発生しており、現場では農薬散布を軽減した防除対策が強く求められている。そこで、米麦二毛作体系における被害対策として、3月に麦間直播をする方法によって、殺虫剤を使用しない発生抑制技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 麦あと移植の飼料イネ(表1)は、同一移植日の食用イネと比較してイチモンジセセリが多発する(図1)。
2. 麦間直播は、麦あと移植に比較して、イチモンジセセリの発生を顕著に抑制した(図1)。これは、7月下旬から8月上旬にかけて産卵される第2世代幼虫の発生数が少なかったためである。
3. 麦間直播は、麦あと移植に比較して、イチモンジセセリの産卵最盛期(2004年-7月17日、2005年-7月21日:有効積算温度から推定 6月1日を起日、発育ゼロ点13.4℃、539日℃の日)付近の葉緑素濃度(SPAD値)が低く推移する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 麦間直播で収穫量を向上させるための施肥量や施肥時期、栽培品種の組み合わせとイチモンジセセリ発生量と葉色値との関係については、今後更に検討を要する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:飼料イネにおける主要害虫の検索とイチモンジセセリ等の対策技術確立
予算区分:関東飼料イネ
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:根岸進、矢ヶ崎健治、新井利行、江村薫

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