食の外部化率が2人以上世帯の2倍を示す20〜40歳代の単身世帯


[要約]
調理食品の購入金額と外食費の合計が食料支出に占める割合でみた「食の外部化率」は、20〜40歳代の単身者で60%に達している。単身者の生鮮肉購入金額は、家族と同居する同年齢者の約半分であるなど、単身者は生鮮肉や米の購入金額も少ない。

[キーワード]単身世帯、食の外部化率、食料支出、調理食品、外食、年齢階層別、性別

[担当]中央農研・経営計画部・マーケテイング研究室
[代表連絡先]電話029-838-8855
[区分]関東東海北陸農業・経営、共通基盤・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 近年、調理食品利用の急増にみられるように食の外部化の進展はめざましい。なかでも若齢層の食の外部依存が問題視されながら、その実態を明らかにしたものはない。総務省の実施する「家計調査」において、従来の2人以上世帯に加え、単身世帯の通年にわたる調査が実施されるようになり、2002年の結果から報告されている。そこで、2003年の「家計調査」個票を分析することにより、2人以上世帯と単身世帯のそれぞれについて、食の外部化の実態解明を行う。

[成果の内容・特徴]
1. 家族と同居する者(以下、2人以上世帯)の1ヶ月の食料支出を年齢階層別にみると、50〜60歳代で最も多く1人につき約3万5千円であるのに対して、単身者では25歳から50歳代にかけて約5万円である。20〜40歳代の単身者で外食費が特に多い(図1)。
2. 70歳以上を除き、米の購入金額は2人以上世帯で多く、パンの購入金額はすべての年齢階層で単身者の方が多い(図2)。
3. 生鮮肉と生鮮魚介の1人当たり購入金額は、80歳以上を除き、どの年齢においても2人以上世帯の方が単身者より多い。特に20〜50歳代前半にかけて単身者の生鮮肉購入金額は2人以上世帯の同年齢者の約半分である(図3)。
4. 「食の外部化率」は、20〜40歳代の単身者で60%に達しており、2人以上世帯が約30%であるのに対して2倍を外部に依存している。ただし、65歳以上になると、2人以上世帯が20%に対して単身者は約30%である(図4)。
5. 単身男性に限ると「食の外部化率」は、20〜30歳代で70%を超えている。単身女性の「食の外部化率」は、若齢層でも単身男性より低く、また50〜60歳代では約半分である(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 単身者かどうか、また年齢や性別によって食の外部依存の程度に特徴のあることが明らかになったので、それぞれに利用しやすい食材の提供方法など、年齢や性別といった属性別に食生活の改善方策を確立するための情報となる。
2. 「家計調査」個票は、総務省の承認を得て利用している。
3. 厚生労働省の実施する「国民栄養調査」では、調理食品の購入金額や外食費のデータは得られない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:食の外部化と家庭内食との関連からみた食料消費に関する研究
課題ID:03-03-03-01-04-05
予算区分:交付金
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:石橋喜美子、河野恵伸、大浦裕二

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