花き鉢物用定量施肥器


[要約]
開発した花き鉢物用定量施肥器は、肥効調節型肥料を定量施用できる。計量繰り出し孔の径が異なるスライドコマを交換することにより施肥量を変えられる。施肥量の変動係数は6%程度で、手作業と同程度である。作業時間は手作業の30%程度で済む。

[キーワード]花き、鉢物、肥効調節型肥料、定量施肥器

[担当]群馬農技セ・生産環境部・機械施設グループ、生産技術部・花きグループ
[代表連絡先]電話0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 花き鉢物栽培における施肥方法として、生産者の水管理による肥料溶出量の差が出にくく、長期間肥効のある肥効調節型肥料を置き肥施用する施肥技術が有効である。この施肥方法は1鉢に施用する肥料が1〜3gと少ないうえ、定量を1鉢ごとに施用する必要があるため施肥に手間が掛かり、普及への障害となっている。そこで、肥効調節型肥料を簡単に定量ずつ繰り出すことができる省力的な簡易施肥器を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 開発器は料理用の粉ふるい器をベースに改良したもので、肥料収納部、取っ手、レバー、放出管を基に計量繰り出し孔の空いたスライドコマ、バネ、緩衝板を付加した構成となっている(図1図2)。
2. 収納部に肥料を投入すると計量繰り出し孔に充填される。レバーを握ると肥料収納部底面に取り付けたスライドコマの計量繰り出し孔が放出管の直上に移動する。この際に、計量繰り出し孔の上面は緩衝板によりすり切られ、計量繰り出し孔の容積分だけの肥料が放出管より落下する。レバーをゆるめるとバネの反力によりスライドコマが元の位置に戻り、計量繰り出し孔に肥料が再度充填される(図2)。
3. 計量繰り出し孔の径の異なるスライドコマを交換することで肥料の繰り出し量を変えられる。1.0g用と1.5g用のスライドコマの場合、平均繰り出し量はそれぞれ1.04g、1.53gとなり、変動係数は6%程度で手作業と同程度である(表1)。
4. 作業時間は、手作業に比べて30%程度で省力的である(表2)。
5. 緩衝板は弾性体のため、すり切る際の肥料の損傷、スライドコマの移動の際の肥料の詰まり等を減少することができる。また、スライドコマの交換は交換蓋を開けることで簡易に行える(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 開発器の重量は約200gで、肥料を最大500g投入できる。
2. 肥効調節型肥料のように、粒の形が崩れにくく、形状・密度がほぼ揃っている特性を持った資材が使用に適し、かさ密度を量ることで重量が安定して施肥できる。
3. 開発器は(株)マツモト(群馬県高崎市)と共同で開発し、平成17年4月より販売されている(商品名:ショットくん、型式:ST-1)。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:被覆複合肥料施用による鉢物花き施肥技術の平準化
予算区分:県単
研究期間:2004年度
研究担当者:須田功一、原昌生、清水良泰、渡辺政一郎、木暮朋晃(株式会社マツモト)
発表論文等:特願2004-294903

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