稲発酵粗飼料主体のTMRに食品製造副産物を混合した場合の乳生産への影響


[要約]
稲発酵粗飼料を主な粗飼料源とするTMRにおいて、給与飼料の20%をトウフ粕およびビール粕で等量ずつ代替しても、乳成分率を低下させることなく30kg程度の乳生産が可能である。また、非繊維性炭水化物を補充する必要は認められない。

[キーワード]乳用牛、稲発酵粗飼料、食品製造副産物、トウフ粕、ビール粕

[担当]新潟畜産研・酪農肉牛科
[代表連絡先]電話0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料自給率の向上を図る上で、水田から生産される稲発酵粗飼料は重要な粗飼料である。また、食品製造業から排出される副産物を穀類等と代替し、積極的に活用することで飼料自給率の向上が期待される。一方、食品製造副産物の混合割合を積極的に高める場合、非繊維性炭水化物の不足により、乳生産が低下することも想定される。そこで、稲発酵粗飼料を主な粗飼料源とするTMRに食品製造副産物を混合した場合の乳生産への影響を検討し、その利用方法を提案する。

[成果の内容・特徴]
1. 稲発酵粗飼料(夢あおば・黄熟期)を乾物として26.5%混合するTMR(対照区)において、対照区の給与飼料の20%をトウフ粕およびビール粕に等量ずつ代替したBP区、トウフ粕およびビール粕の混合割合をそのままに、トウモロコシによって非繊維性炭水化物を増量したBP調整区の3区を設定し(表1)、泌乳中期牛6頭を用いて飼養試験を実施した。
2. 乾物摂取量、乳量、乳蛋白質率および無脂固形分率は、試験区間に差がない。乳脂率はBP区で高い傾向にある(表2)。
3. ルーメン液中の総VFA濃度に差はないが、酢酸/プロピオン酸比はBP区で高い(表3)。
4. 血液中の総コレステロール濃度はBPおよびBP調整区で高値を示すが、有意な差ではない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 稲発酵粗飼料主体のTMRに食品製造副産物を活用する場合、その混合割合の参考となる。
2. この成果は、1期を3週間とする3×3ラテン方格法により、6月中旬から8月中旬に実施した飼養試験で得られた結果である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:飼料イネの特性を活かした地域資源活用型の飼料給与技術の開発
予算区分:国委託(ブランドニッポン3系)
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:関誠、高橋英太、木戸高至、夏井啓介

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