アイガモ受精卵保存温度および保存期間がふ化率に及ぼす影響


[要約]
水禽(アイガモ)受精卵のふ化率を高めるには、保存温度が12℃の場合は2週間以内、保存温度が5℃の場合1週間以内に入卵することが必要である。また、保存温度が20℃の場合はふ化がほとんど期待できない。

[キーワード]アイガモ、受精卵、ふ化率、保存温度、保存期間

[担当]山梨畜試・養鶏科
[代表連絡先]電話055−273−6441
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 山梨県においては、アイガモ水稲同時作を導入する農家が増加していることから、アイガモ雛の円滑な供給体制の確立が急務となっている。そのためには、アイガモ雛を払い下げ時期に合わせて計画的にふ化させる必要があり、受精卵の保存技術の向上が求められている。ところが、鶏受精卵の保存技術に関する研究報告は多くあるが、アイガモを含めた水禽については報告事例が少ない。そこで最適なアイガモ受精卵の保存方法を確立するために、受精卵の保存温度と保存期間のコントロールがふ化率に及ぼす影響について調査した。

[成果の内容・特徴]
種卵の保存温度を5℃、12℃及び20℃。保存期間を1週間、2週間および2週間とし、それぞれの要因を組み合わせて2反復9区分で実施した。
【入卵後21日目における発育卵率(図−1)】
入卵後21日目に発育している受精卵の割合(以下発育卵率という)については、1週間保存では保存温度による差はほとんどないが、3週間保存では12℃の場合に72%あるのに対し5℃及び20℃では8%及び0%と低下する。

【発育卵に対するふ化率(図−2)】
1週間保存した場合、保存温度が5℃および12℃ではふ化率の差はほとんどないが、保存温度が20℃ではその後ふ化する受精卵が半分以下となる。
2週間保存した場合、保存温度が12℃では、69.6%のふ化率が得られたが、5℃では、43.8%と低く、20℃ではふ化しなかった。
3週間保存した場合、保存温度が12℃では約半分の受精卵がふ化したが、保存温度が5℃及び20℃ではふ化しなかった。

[成果の活用面・留意点]
アイガモ雛の払い下げ時期に合わせた、計画的なふ化が期待できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:特殊家禽の改良と増殖
予算区分:県単
研究期間:1996〜
研究担当者:小川 陽介、松下 浩一、西尾 進
発表論文等:小川ら(2005)山梨県畜産試験場研究報告第50号:5−9

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