0.06ppmのオゾンガスにより落下細菌数や鼻腔内細菌数が減少する


[要約]
オゾンガス濃度が0.06ppmの試験豚房内で豚を飼養し、オゾンガスの殺菌効果を調査したところ、試験区の落下細菌数及び鼻腔内細菌数は対照区に比べ有意に少なく、オゾンガスにより落下細菌数及び鼻腔内細菌数は約20%減少する。

[キーワード]ブタ、オゾンガス、落下細菌数、鼻腔内細菌数

[担当]神奈川畜技セ・畜産工学部
[代表連絡先]電話046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 家畜の生産性を向上させるためには、家畜の飼養環境を良好に保ち、病気の発生を予防するための定期的な消毒など畜舎環境の衛生対策が不可欠である。
 また、一方では安全で安心な畜産物を提供し、環境への負荷を軽減するため、豚を飼養する際には抗生物質や消毒剤等を出来る限り使用しないことが求められている。
 そこで、本研究ではオゾンの強い殺菌力と2次汚染物質を生成しないという特徴を活用し、オゾンを利用した生産性が高く環境に優しい飼養衛生管理方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 試験区及び対照区の豚房(10.8m3:2m×3m×1.8m)をそれぞれシートで覆い、約8週齢〜10週齢のLWD種を10頭ずつ入れ、1時間に96mgのオゾンが発生できる紫外線ランプ式オゾン発生機(2台)を用い、試験区に1分間に64Lのオゾンガスを送風する。
2. オゾンガス濃度は、地上90cmの位置で紫外線吸収式オゾン濃度計を用いて測定する。オゾン発生機はオゾン濃度が0.06ppmになると発生機が稼働し、0.1ppmで停止するよう設定したところ、(写真1)試験室内の平均オゾンガス濃度は0.06ppmである。
3. 試験豚房内の落下細菌数は、試験区が対照区に比べ有意に少なく(P<0.05)、日数が経過するに従い、試験区がより多く減少する傾向にある(図1)。
4. 試験区の鼻腔内細菌数は対照区と比較して有意に少なく(P<0.05)、オゾンガスにより鼻腔内細菌数は約20%減少する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. オゾンガスを送風することにより、豚舎内の落下細菌や鼻腔内細菌が減少することから、オゾンを利用することにより豚舎内の衛生環境改善効果が期待できる。
2. オゾンガスは豚舎の湿度等条件や粉塵の影響により、濃度が一定しない場合があるので、施設毎の各条件に対応した利用方法の検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名: 養豚施設におけるオゾン利用方法の基礎的研究
(2)オゾンの殺菌効果及び生体への影響に関する検討
予算区分:県単
研究期間:2004年度
研究担当者:小嶋信雄、平原敏史、前田高弘
発表論文等:小嶋ら(2004)平成16年度試験研究成績書(繁殖工学・養豚):30-32

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