賞味期限切れの牛乳を用いた混合液餌によってしまりある豚肉生産が可能


[要約]
肥育豚に賞味期限切れの牛乳を市販飼料と混合液状給与した場合、肉質では、やや厚脂の傾向がみられるものの、背脂肪内層及び腎脂肪の融点が高く、しまりのある肉質となる。発育では、肥育前期の増体が優れる。

[キーワード]豚肉豚、賞味期限切れの牛乳、液状給与、しまり、融点

[担当]愛知農総試・畜産研究部・豚グループ
[代表連絡先]電話0561-62-0085 内線562
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 食品リサイクル法により食品関連事業者は平成18年度までに再生利用等の実施率20%が目標とされている。このため、食品工場より排出される日切れ品、在庫調整品等の食品廃棄物は食品循環資源として飼料等に有効利用することが求められている。
 アミノ酸バランスのよい賞味期限切れの牛乳(以下、牛乳と記す)とを肥育豚に混合液状給与した際の発育成績と肉質に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 市販飼料に2倍量の牛乳を混合し、肥育豚に液状給与した場合、背脂肪内層の融点が38.7℃となり、市販飼料の35.3℃と比較して有意に高くなる。また、腎脂肪融点も44.2℃となり、市販飼料の40.5℃と比較して高い傾向を示し、しまりのある肉質となる。また、3倍量の牛乳を混合給与した場合でも同様な結果を示す。なお、その他の理化学的測定値には差は認められない(表1)。
2. 牛乳給与の豚肉と市販飼料給与豚肉の「しゃぶしゃぶ」による食味検査において、両者に明確な差は見られない(表2)。
3. 肥育前期の発育は、牛乳の混合割合が高くなるにつれて増体量が改善される。しかし、肥育後期の発育では一定の傾向は見られない。
 肥育の全期間を通じては、牛乳の混合給与の方が増体に優れる傾向がある(表3)。
4. 牛乳は単品飼料としての成分、内容が一定であるため、配合利用が容易である。

[成果の活用面・留意点]
1. 牛乳は水分が高く、品質が劣化しやすいため、保存、給与等の際には品質保持に充分注意が必要である。
2. 豚房などに牛乳が飛散、付着すると夏場など腐敗臭がでるおそれがあるので豚房水洗を心懸ける必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:食品残渣の給与が発育に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2005年度
研究担当者:大口秀司、山本るみ子

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