ミスト噴霧によるウインドウレス採卵鶏舎内浮遊細菌・浮遊粉塵抑制効果


[要約]
塩化ジデシルジメチルアンモニウム10%製剤500倍希釈液をウインドウレス鶏舎内で点灯中に3時間間隔で5分間(11.2ml/m3)噴霧することにより、舎内空中浮遊細菌濃度は82.3%、粉塵濃度は12.8%低減される。

[キーワード]ミスト噴霧、採卵鶏舎、浮遊細菌、浮遊粉塵、消毒

[担当]三重科技セ・畜産研究部・中小家畜グループ
[代表連絡先]電話0598-42-2207
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、省力的かつ効率的な飼育を目的に採卵鶏舎では、多段式ケージシステムを取り入れたウインドウレス化が進んでいる。一方、このタイプの鶏舎では開放鶏舎に比べ鶏舎容積当たりの飼育羽数が多くなるため、浮遊細菌濃度や浮遊粉塵濃度が高くなるなど、鶏舎内環境の悪化が危惧される。そこで、ミスト噴霧によるウインドウレス採卵鶏舎内の浮遊細菌・浮遊粉塵抑制効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
 当研究部の陰圧式トンネル換気方式ウインドウレス鶏舎において1室(容積50m3)当たり産卵鶏60羽をケージで単飼し、計3室、180羽で実施。各区とも換気量を19.4m3/分とする。試験区分は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム10%製剤500倍希釈液噴霧区(消毒区)、水道水噴霧区(水区)、噴霧なし(無噴霧区)の3区とし、各噴霧区は、試験開始後毎日6:30、9:30、12:30、15:30から5分間、粒子径約40ミクロンに調整した噴霧器を用いて11.2ml/m3噴霧する。試験開始後10、16、24、31、44日目にエアーサンプラーを用いて10:00及び13:00から80分間に吸引した鶏舎内空気中の浮遊細菌、浮遊粉塵、アンモニア濃度を測定する。なお、試験期間中除糞は行わず、鶏糞はケージ下に堆積する。
1. 空中浮遊細菌濃度は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム10%製剤500倍希釈液を毎日6:30、9:30、12:30、15:30から5分間、粒子径約40ミクロンに調整した噴霧器を用いて11.2ml/m3噴霧することで噴霧しない場合と比べ82.3%低減する。一方、水を同様に噴霧しても39.4%しか低減できない(図1)。
2. 空中浮遊粉塵濃度は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム10%製剤500倍希釈液噴霧により噴霧しない場合と比べ12.8%低減する。一方、水を同様に噴霧しても3.8%しか低減できない(図2)。
3. アンモニア濃度は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム10%製剤500倍希釈液および水を噴霧しても低減できない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 鶏舎の形態や換気方式等の要因に基づいて適正な噴霧量、噴霧間隔について設定する必要があるが、その際の基礎データとすることができる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:微生物制御による採卵鶏農場における悪臭・衛生対策技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:巽俊彰、佐々木健二、中西圭一、寺田和彦、岡秀和、紀平三生

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