クロロIPC乳剤の土壌混和処理によるワルナスビの抑制効果


[要約]
クロロIPC乳剤を土壌混和処理することによって、ワルナスビの地上茎の発生本数を抑制することができ、さらに地下部についても根片からの地下茎や発根量を顕著に抑制することができる。

[キーワード]ワルナスビ、クロロIPC乳剤、土壌混和処理

[担当]三重科技セ・畜産研究部・大家畜グループ
[代表連絡先]電話0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料畑へ侵入した強害外来雑草の拡散を阻止することは、飼料作物に対する雑草害を回避するだけでなく、生態系における自生植物の保全の上からも重要である。特に強害多年生雑草であるワルナスビは難防除雑草として耕地や草地に侵入すると根絶させることは非常に困難である。そこで、耕地に侵入したワルナスビの効果的な抑制技術としてクロロIPC乳剤の土壌混和処理技術を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. クロロIPC乳剤の土壌混和処理はワルナスビの地上茎の発生率を無処理の場合の約50%に抑制し、処理効果は処理層内にある根片だけでなく、処理層直下や深部にある根片にまで及ぶ(表1図1)。
2. クロロIPC乳剤による土壌混和処理は、土中の根片を完全に腐敗させる割合は低いものの、地下部においての根片からの垂直地下茎や発根量を顕著に抑制することができ(表1)、次年度の地上茎発生本数の抑制に効果があることが想定される。
3. ワルナスビ多発圃場をロータリによって耕耘すると、ロータリ爪によって地下部の根系が切断されるため、地上茎は耕耘後の日数の経過とともに指数関数的に発生してくる。このことはロータリの前部に噴霧装置を装着した土壌混和処理装置(試作装置)により、耕耘時にクロロIPC乳剤を土壌と混和しても同様な傾向である(図2−a)。
4. ワルナスビ多発圃場をロータリで耕耘すると、地上茎の本数は無処理区では耕耘前の約170%にも増加するが、耕耘時にクロロIPC乳剤を土壌と混和処理することにより、耕耘前の約80%に抑制することができる。これを無処理区の発生本数を基準に密度補正すると、混和処理によって地上茎の発生は50%以下にまで抑制できたことになる(図2−b)。

[成果の活用面・留意点]
1. ワルナスビ多発圃場において、クロロIPC乳剤を土壌混和処理することにより、地上茎の発生や地下部の生育を抑制する効果が期待できる。
2. ワルナスビは単年の混和処理では根絶させることができないため、継続的な処理と効果の確認が必要である。
3. 混和処理装置はロータリ前部に噴霧装置を装着する簡易なもので、生産現場で容易に試作できる。
4. クロロIPCはデントコーンの土壌散布処理の登録は取れているものの、混和処理の登録は取れておらず、今後、トウモロコシ等への薬害等の影響を確認する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:強害外来雑草の制御技術の確立
予算区分:県単経常研究
研究期間:2004年度
研究担当者:浦川修司、平岡啓司、小出 勇

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06.10.16