飼料イネのβ-カロテン・α-トコフェロール含量と予乾サイレージ中の残存率


[要約]
飼料イネ黄熟期のβ-カロテン含量は、早生に比べ中生品種で低い傾向がある。これを1日予乾するとβ-カロテン含量は刈取り時の約9割に、さらにサイレージ調製(1ヶ月貯蔵)で約7割に減少し、この時、α-トコフェロール含量は刈取り時の約5割に減少する。

[キーワード]飼料イネ、予乾、サイレージ、β-カロテン、α-トコフェロール

[担当]富山畜試・飼料環境課
[代表連絡先]電話076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料イネは、肉質向上を目指した肉用肥育牛への利用拡大が望まれているが、一般に給与される稲わらに比べβ-カロテン含量の高いことが懸念されている。しかし、品種によるβ-カロテン含量の差やロールベールサイレージ調製における予乾の低減効果は不明である。また、飼料イネは、肉色保持に効果的なα-トコフェロール含量の高いことで注目されているが、予乾処理の影響については明らかではない。そこで、飼料イネのβ-カロテンおよびα-トコフェロールについて、品種による含量の差や、予乾ロールベールサイレージ調製における含量の変化を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 飼料イネの黄熟期におけるβ-カロテン含量は乾物中19〜32mg/kgと乳熟期の約3割に減少し、早生品種(夢あおば、べこあおば)に比べ中生品種(クサユタカ、どんとこい)で低い傾向がある。一方、同時期のα-トコフェロール含量は乾物中約250mg/kgと乳熟期の約7割で、品種による差はみられない(表1)。
2. 飼料イネ中生品種のβ-カロテン含量は、黄熟期刈りの1日の予乾で刈取り時の約9割に、さらにサイレージ調製(1ヶ月貯蔵)により約7割に減少し、乾物中13.7mg/kgと稲わら(日本標準飼料成分表の乾物換算値:乾物中0.6〜10.6mg/kg)に近くなる。乳熟期の場合、1日の予乾で刈取り時の約8割、2日の予乾で約2割に減少する(図1)。
3. 飼料イネ中生品種の黄熟期におけるα-トコフェロール含量は、1日の予乾で刈取り時の約6割に、さらにサイレージ調製(1ヶ月貯蔵)により約5割に減少するが、乾物中103mg/kgで稲わら(当場分析値:乾物中19mg/kg)の約5倍と高い(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 肉用肥育牛向け飼料イネの品種選定や、刈取り後の調製に活用できる。
2. 北陸地域における早〜中生品種での結果であることに留意する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名: 新鮮でおいしい「ブランド・ニッポン」農産物提供のための総合研究
肉用肥育牛に対応した飼料イネ調製・給与技術の開発
予算区分:ブランドニッポン3系(委託)
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:金谷千津子、中島麻希子、丸山富美子、吉野英治、小山千鶴

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