二毛作体系における高消化性ソルガムの刈取り適期とロールベールサイレージ調製水分


[要約]
二毛作体系においてロールベールサイレージに調製する高消化性ソルガムの刈取り適期は、穂ばらみ期で、刈取り後、水分を60%以下に予乾することにより良質なサイレージに調製できる。

[キーワード]ソルガム、ロールベールサイレージ、穂ばらみ期、予乾、二毛作体系

[担当]富山畜試・飼料環境課
[代表連絡先]電話076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 乳牛用の自給粗飼料には、スーダングラスに比べて採食性や栄養価が高く、牧草収穫機械で生産できる夏作物が求められている。このため、近年、消化性成分の改良されたソルガム(高消化性ソルガム)の導入が期待され、ロールベールサイレージ向け播種法等が検討されているが、二毛作体系における刈取り適期や調製水分が不明である。
 そこで、二毛作体系における高消化性ソルガムについて、Ob(低消化性繊維)含量等の成分特性や収量から刈取り適期を明らかにするとともに、予乾によるロールベールサイレージの調製水分を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 穂ばらみ期および出穂期の高消化性ソルガム(品種:高消化ソルゴー、BMRスイート)は、スーダングラス(品種:ヘイスーダン)に比べて稈径が太く、水分含量が高い傾向である。また、同様に採食性に影響するOb含量が約2割低く、TDN含量に比例するOCC+Oa(細胞内容物の有機物部分+高消化性繊維)含量が約3~4割高い(表1)。
2. 高消化性ソルガムの硝酸態窒素含量は、スーダングラスに比べて伸長期には差がないが、穂ばらみ期、出穂期では、低い傾向である(図1)。
3. 高消化性ソルガムは1番草を穂ばらみ期で刈取ると、2番草の刈取り時期が冬作播種に影響がなく硝酸態窒素含量の低い傾向である穂ばらみ期となる。また、2回刈り合計乾物収量もスーダングラスと比べて遜色がなく、夏作高消化性ソルガムと冬作イタリアンライグラスとの二毛作体系が導入できる(表2)。
4. 高消化性ソルガムは、穂ばらみ期に刈取り後、水分含量を60%以下に予乾すると、V-SCOREの比較的高いロールベールサイレージに調製できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 細断せずに梱包する従来のロールベーラを用いた高消化性ソルガムのサイレージ調製に活用できる。
2. 北陸地域の二毛作体系の夏作物として、6月上旬に播種(散播、8kg/10a)した結果であることに留意する。
3. 予乾時には、土砂の混入による発酵品質低下を避けるため、反転作業を実施しない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:高栄養飼料作物の省力生産利用技術確立
予算区分:国補(生総)
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:中島麻希子、金谷千津子、吉野英治、齋藤健朗、丸山富美子

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