乳用牛ふん尿混合物の固液分離液の浄化


[要約]
粥状で処理しにくい乳用牛ふん尿混合物固液分離液は、凝集剤を用い簡易汚泥脱水装置で固分を取り除いた後に、空きサイロを改修した曝気槽で曝気することにより、放流可能な水質まで処理することができる。

[キーワード]乳用牛、ふん尿混合物、固液分離、浄化、放流

[担当]群馬畜試・資源循環研究グル−プ
[代表連絡先]電話027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 乳用牛ふん尿混合物固液分離液は粥状で扱いにくく、不充分な曝気処理で散布すると悪臭発生につながりやすい。この固液分離液を簡易かつ低コストで処理できれば酪農家の負担は軽減される。そこで、固液分離機を利用している酪農家に簡易汚泥脱水装置(関東東海北陸農業 研究成果情報 平成14年度 I P2)を取り付け、空きサイロを曝気槽に改修して放流可能水質まで処理する方法を産官共同研究で検討する。また、搾乳排水を含めた処理についても検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 対象は酪農家とし、搾乳牛舎から排出されたのふん尿混合物をローラー式固液分離機で分離した液分を処理する。分離液に0.3%高分子凝集剤液を20%添加し、簡易汚泥水装置で固分を分離する。ろ液を約2倍(搾乳排水を含む場合は約1倍)の水で希釈し、改造した空きサイロで13から19時は曝気停止、その他の時間は15分運転45分休みの間欠曝気をする(図1)。空きサイロは2.1m×2.5m、深さ3.5mである。槽の仕切り壁の中段に径150mmの穴を2つ開け連結させる。
2. 固液分離後の液分は、水分93%、BOD12000、SS36000、T-N5000、T-P400r/L程度である。簡易汚泥脱水装置による除去率は、BOD78%、SS99%、T-N73%、T-P93%である。更に、改造した空きサイロによる間欠曝気処理をすると除去率は、BOD100%、SS99%、T-N95%、T-P97%となる。この処理水は県の排水基準の値を下まわる(表1)。
3. 搾乳排水も含めた処理を行うと、貯留槽の液分はBOD3700、SS29000、T-N2400、T-P640程度となる。簡易汚泥脱水装置処理による除去率は、BOD85%、SS99%、T-N63%、T-P97%であり、搾乳排水を含まないものよりも良好である。
 また、空きサイロによる曝気処理を含めた全体の除去率は、BOD95%、SS97%、T-N60%、T-P92%である。スカムの発生が多くなり、放流水槽に流れ込んだものがあったため除去率の低下した項目もあり、SSとT-Nが県の排水基準の値を超える(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 空きサイロがあれば、これを活用して浄化処理することができる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:酪農家向けの省力型排せつ物処理技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2005年度
研究担当者:吉原良一(木戸(株))、篠崎秀明(群立機器(株))、山田徹朗(群馬繊工試)、山田正幸(群馬畜試)

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