バイオジオフィルター水路で浄化処理水中の窒素・リン低減及び緑化が可能


[要約]
家畜用浄化槽で浄化した処理水中の窒素・リン濃度を低減させるため、植物と鹿沼土を用いたバイオジオフィルター水路での低減を試みる。窒素及びリンの除去量は、0.84g及び0.12g・平方メートル/日で、植物の生育も良好で環境美化機能を果たす。

[キーワード]バイオジオフィルター、鹿沼土、植物、リン低減、窒素低減

[担当]神奈川畜技セ・企画経営部
[代表連絡先]電話046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 家畜用浄化槽から排出された浄化処理水中の窒素・リン低減のため、植物を利用した水環境負荷物質低減技術の開発を行うとともに、都市住民の憩いの場となるような環境美化機能を備えた新しい浄化処理システム構築を目指す。

[成果の内容・特徴]
 幅3m×長さ18mのハウス内に長さ2.7m×幅0.3mの水槽4つを直列につなぎ1列のバイオジオフィルター水路(植物-濾材系水路:以下「BGF水路」)とする。水槽内にカゴを置き、カゴの中に鹿沼土を深さ30cm程度に敷き詰める。鹿沼土の表層部に植物を植えた植物-鹿沼土区と植物を植えない鹿沼土区を用意する。水は水槽底部から15cmの水深で流れるようにし、タンクに貯留した浄化槽処理水は自然流下で1日かけて流し込む(図1)。BGF水路での処理水量は、約450リットル/日である。
1. BGF水路投入水(家畜用浄化槽処理水)とBGF処理水を比較すると、両区ともにBOD等も除去できるとともに、色度の低下も見られる(表1)。
2. BGF水路での植物-鹿沼土区と鹿沼土区の窒素・リン収支から植物への吸収は確認できず、鹿沼土への吸着量が主である。植物-鹿沼土区の窒素及びリンの吸着量(除去速度)は0.84g及び0.12g・平方メートル/日である(表2)。試験後半にかけてBGF水路からの放流リン量が上昇しSS等固形物による吸着量の低下が見られる(図2)。
3. 図1に示した8種類の植物をBGF水路に植栽したが、生育も良好で環境美化機能を果たす。

[成果の活用面・留意点]
 BGF水路内での窒素・リン低減効果は、鹿沼土への吸着が主であるため、濾材への目詰まり及び窒素・リンの吸着量低下を引き起こす可能性のある家畜用浄化槽処理水中のSSのような固形物対策を講じる必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:(3)有用植物による水環境負荷物質の低減技術の開発
予算区分:国庫
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:川村英輔、田邊 眞、齋藤直美
発表論文等:田邊ら(2004)平成16年度試験研究成績書(畜産環境・経営流通・企画調整):29-33

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