ブドウ「藤稔」におけるストレプトマイシンを利用した無核栽培技術


[要約]
ブドウ「藤稔」にストレプトマイシン1000倍(200ppm)液を満開10日前までに散布し、満開11日後にジベレリン25ppmおよびホルクロルフェニュロン10ppmの混合溶液を果房浸漬処理することにより、種なしで1果粒重約20gの房が得られる。

[キーワード]ブドウ、藤稔、ストレプトマイシン、無核栽培

[担当]神奈川農技セ・果樹花き研究部
[代表連絡先]電話0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、栽培面積の増加している「藤稔」は、「巨峰」「ピオーネ」に比べて種子が入りやすいため、無核栽培を行う場合は、ストレプトマイシン(SM)の利用が有効であるが、無核果率95%以上を確保しつつ、十分な果粒肥大および果実品質を得る方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ストレプトマイシン(SM)は、満開10日前までに「藤稔」に散布することにより、樹齢5〜10年生の長梢・短梢どちらの仕立て方においても90%以上(しいな率含む)の無核果率を確保できる(図1)。
2. SMを満開10日前までに散布し、満開11日後にジベレリン(GA)25ppmおよびホルクロルフェニュロン(CPPU)10ppmの混合溶液を果房浸漬処理することにより、1果粒重は19gとなり、無核果率100%の果房が得られる。なお、GA2回処理の場合、1果粒重は22gを超えるが、無核果率が82%と低い(表1)。
3. 果実品質は、18.3Brix%、酒石酸0.50g/100mlであり、有核果房に比べて糖度が高く酸度が低い(表1)。
4. 果粒肥大特性は、無処理区とほぼ同様の2重S字曲線を示す(データ略)が、果実肥大第II期(肥大停滞期)が短い(表2)ことから、スムーズな肥大をしていると考えられる。この方法においては、裂果の軽減が観察されており、そのこととの関連が推測される。

[成果の活用面・留意点]
1. いずれの仕立てにおいても、樹勢を強めに保つような管理を心がける。
2. ストレプトマイシン1000倍(200ppm)液の散布は、房に十分にかかるように留意する。
3. 満開後、予備摘粒で30粒程度にまで落とし、2回目の植調剤処理後の摘粒は見直し程度とする。
4. 本成績におけるホルクロルフェニュロンの使用法は、平成18年1月の時点で未登録である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:果樹品種の特性検定試験と新品種の地域系統適応性検定試験
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究者担当名:関 達哉、柴田健一郎、川嶋幸喜、北尾一郎

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