ブドウ「シャインマスカット」の有核栽培における花穂整形時期


[要約]
ブドウ「シャインマスカット」の有核栽培では、開花約2週間前〜満開時のどの時期に花穂整形処理を行っても、有核果は安定して確保でき、花ぶるいや無核果の発生は少ない。

[キーワード]ブドウ、シャインマスカット、有核、花穂、結実、花ぶるい

[担当]三重科技セ・農業研究部・伊賀農業研究室
[代表連絡先]電話0595-37-0211
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 「シャインマスカット」は、良好な香りを有し食味は極めて優れた有望な白系ブドウ新品種であり、産地化に向け品種の特性解明と栽培技術の確立が求められている。有核ブドウ栽培では、花穂整形による結実の確保が、高品質果安定生産に直結する課題となるが、その作業適期は短く、莫大な労力を集中させる必要がある。これらのことから、「シャインマスカット」の花穂整形時期の違いが、結実や果実品質へ及ぼす影響について明らかにし、花穂整形作業の適期を示す。

[成果の内容・特徴]
1. 花穂整形は有核栽培「巨峰」の方法に準じて行う(図1)。開花13日前から満開時のいずれの時期に花穂整形を行っても、房作りに必要な有核果が十分確保できる(図2)。
2. 花穂整形時期の違いが無核果の着生に及ぼす影響は比較的小さく、結実が確保された後は1果房あたり40粒の果房を目標として摘粒作業を行うと、収穫時の果房から無核果を除去できる(表1)。
3. 花穂整形時期の違いによる果粒重、糖度(Brix)、酸含量の差は小さく(表2)、収穫果房の長さや着粒密度の違いは見られない(データ表示せず)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「シャインマスカット」は、花穂整形作業の適期が比較的広いことが明らかになる。作業が集中する花穂整形時に、他品種も含めた作業計画を立てるうえで参考資料となる。
2. 供試した「シャインマスカット」は雨よけ栽培条件下で、樹勢が強勢であっても有核栽培で結実は安定し、果実品質は安定している。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:三重のふるさと特産果樹新品種の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:西川豊、近藤宏哉

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