シトレンジ台木品種「C32」の利用による極早生ウンシュウの生産性向上効果


[要約]
樹勢の弱い極早生ウンシュウの「崎久保早生」にシトレンジである「C32」台木を用いると、「カラタチ」台木と比べて果実品質はほぼ同等で、1樹当たりの収量が増加する。また、樹高・樹幅が増加して、樹冠容積も大きくなる。

[キーワード]ウンシュウミカン、シトレンジ台木、収量、果実品質

[担当]三重科技セ・農業研究部・紀南果樹研究室
[代表連絡先]電話05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 極早生ウンシュウは、一般に樹勢が弱く収量が少ないため樹勢強化対策が必要である。極早生ウンシュウの栽培では、台木としてカンキツトリステザウイルスに対して抵抗性がある利点から「カラタチ」が利用されているが、果実品質は良い反面、樹勢が弱く収量は少ない。そこで、カリフオルニア大学で育成されたカンキツトリステザウイルス抵抗性が期待できる「ルビーオレンジ」と「カラタチ」との属間雑種(シトレンジ類)である「C32」と「C35」について極早生ウンシュウ「崎久保早生」の台木候補としての適用性を調査する。なお、対照品種として「カラタチ」、および中晩性カンキツ類等で強勢台木として利用されている「シークワシャー」を用いる。

[成果の内容・特徴]
1. 樹齢が進むにつれて樹体生育に台木の影響が認められ、樹高は「C32」「シークワシャー」が「カラタチ」「C35」に比べて高くなり、樹幅は「カラタチ」等に比べて「C32」がやや大きく「C35」でやや小さい。樹冠容積は「C32」が「カラタチ」および「C35」より大きくなる(表1)。
2. 台木品種が1樹当たり収量に及ぼす影響では、毎年「C32」の収量が多く、累積収量でも「C32」は「カラタチ」台に比べて約5割多い。「シークワシャー」の収量は「カラタチ」よりやや多く、「C35」が最も少ない傾向にある(表2)。
3. 果実品質では、糖度及びクエン酸含量について、年次間、台木間で一定の差異が認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「C32]台木は、極早生ウンシュウなど樹勢の弱い品種の樹勢強化対策に利用できる。
2. 「崎久保早生」など樹勢の弱い極早生ウンシュウに「C32]台木を利用した場合、樹冠拡大が早いので早期成園化が可能となる。
3. 台木用種子は海外から購入する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カンキツ等新品種の育成と栽培体系の確立
予算区分:県単
研究期間:1994〜2005年度
研究担当者:市ノ木山 浩道、前 博視

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