ピンク系グラジオラス新品種「舞姫」


[要約]
「舞姫」は花色が透明感のある美しいピンク色で商品性が高く、本県の主要な作型にも適応でき、次代の主力品種として期待できる。

[キーワード]グラジオラス、育種、品種

[担当]茨城農総セ園研・花き研究室
[代表連絡先]電話0299-45-8341
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 茨城県のグラジオラスは、球根生産で全国生産量の65%のシェアにあたる32haの栽培面積で全国第1位、切り花生産では作付面積35haで全国第2位の、県の花き主要品目となっている。しかし、近年の産地間競争の激化や、球根の輸入自由化等による流通の国際化に対応するため、産地独自の品種を育成することが営利的に必要となってきている。そこで、茨城県の気象条件や作型に適合し、消費動向にもあった新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「舞姫」は、1990年に「富士の雪」を種子親、「スピックアンドスパン」を花粉親として交配され、優良系統選抜により得られた系統で、2002年3月に品種登録(登録番号第10157号)された(図1)。
2. 到花日数は、季咲き栽培および抑制栽培とも「トラベラ」等の主力品種よりやや短い(表1)。
3. 草丈および花穂長は、「トラベラ」より長く「富士の雪」より短い。茎径も同様の傾向で「トラベラ」よりやや太く、「富士の雪」よりやや細い(表1)。
4. 葉長は「トラベラ」より長く、「富士の雪」より短い(表1)。葉数はこれらの品種よりやや多い。
5. 花被色は鮮やかな淡紫ピンク色で、花の中心部が淡黄色である(図1表1)。花被片縁の波打ちは「富士の雪」よりやや弱く、弱〜中程度である(表1)。花径は「トラベラ」と同程度の中大輪である。小花数は18輪と多い。
6. 抑制栽培作型においても「トラベラ」より開花が早く、草丈が長い量感のある切り花が生産できるなど、露地主要作型で営利生産が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. 球根の生産販売は、県との許諾契約により県グラジオラス球根協会が行っている。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:新品種育成普及促進事業
予算区分:県単
研究期間:1990〜2000年度
研究担当者:市村 勉、永井永久、本図竹司、浅野 昭、高城誠志
発表論文等: 市村ら(2000)茨城園研報8:27-31.
農林水産省品種登録第10157号(2002年3月25日)

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