トルコギキョウ中小輪系品種「シナノスノー」(仮称)・「シナノファンタジー」(仮称)の育成


[要約]
純白色の花色で開花期が中晩生の「シナノスノー」及び黄色地に桃の絣を配し中早生の「シナノファンタジー」は、ともに中小輪タイプで茎が堅いトルコギキョウのF1品種である。

[キーワード]トルコギキョウ、中小輪、純白色、黄色地に桃の絣

[担当]長野野菜花き試・育種部
[代表連絡先]電話026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、トルコギキョウの生産は全国的に増加傾向にあり、産地間競争が激しくなっている。また民間種苗会社からは数多くの品種が販売されており、それぞれの産地で共通して栽培されている品種は多い。それ故、本県のトルコギキョウ生産振興上、特徴があり、栽培しやすく、市場流通上有利販売ができる品種の育成が求められている。

[成果の内容・特徴]
1. 当場保有の育成系統について2001年に組み合わせ能力検定交配を行い、2002年にF1組み合わせ能力検定を385系統について実施した。一次選抜した35系統について2003年及び2004年に作期適応性検定等行ない、2系統について実用品種として有望と判断し、2004年3月に「シナノスノー」、2005年3月に「シナノファンタジー」の品種名を付与して品種登録出願を行なった。
2. 「シナノスノー」の主な特性
1) 草丈は対照品種の「ピッコロホワイト」よりやや高く、「つくしの雪」とほぼ同等である(表1)。
2) 側枝は上中位節より分枝するタイプで、草姿バランスがよい(表1)。
3) 花は純白色で、花形は鐘状である(表2)。
4) 花径は5.3cmで「ピッコロホワイト」同様に中小輪に分類される(表2)。
5) 開花期は「ピッコロホワイト」より遅くまた「つくしの雪」より早い中晩生に分類される。
3. 「シナノファンタジー」の主な特性
1) 草丈は対照品種の「レイニーオレンジ」より高く生育が旺盛である(表3)。
2) 側枝は上位節より分枝するタイプで、花梗が伸びにくい頂点咲き性がある(表3)。
3) 花は黄色地に桃色の絣を配した花色で、花形は鐘状である(表4)。
4) 花弁先端部のそりはなく、花径は4.5cmであり中小輪に分類される(表4)。
5) 開花期は「レイニーオレンジ」とほぼ同等の中早生品種である。

[成果の活用面・留意点]
1. 「シナノスノー」は基本となる白花系の中小輪品種、また「シナノファンタジー」は特徴有る花色を有する品種として、オリジナル品種としての生産が可能である。
2. 「シナノファンタジー」は開花期以降換気に注意し、軽い日よけを行うと花色がより鮮明に仕上がる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:切り花花き高品質品種の育成
予算区分:県単
研究期間:1999〜2004年度
研究担当者:宮坂昌実、塚田篤、臼井冨太、関功介、重盛勲
発表論文等: 品種登録出願番号第16858号(シナノスノー)
品種登録出願番号第18169号(シナノファンタジー)

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