豊産で倒伏に強いウド新品種「利根白」の育成


[要約]
「利根白」は、群馬県在来「紫」の自然交配による実生から選抜された品種である。秋季の株養成時において茎が倒伏しにくく、時季はずれの萌芽が少ない。また、緑化栽培において、収量が多く、軟白部に赤みの発生が少ない特性を有する。

[キーワード]ウド、緑化栽培、自然交配実生、新品種、耐倒伏性

[担当]群馬農技セ・中山間地園芸研究センター
[連絡先]電話0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 群馬県内のウド緑化栽培は、中山間地域を中心に約350haで行われている。しかし、収量と品質の両方を兼ね備えた優れた緑化ウド用品種がない。また、在来種では秋季に台風などの強風により茎が倒伏し、時季はずれの萌芽により減収してしまうことが多く、茎が倒伏しない品種が求められている。そこで、これらの要求にかなう新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
2000年に群馬県在来「紫」(「愛知紫」からの選抜系統)の自然交配により得られた実生約10,000株から5次の選抜を行い、2003年に緑化栽培において収量と品質に優れ、株養成時に倒伏しにくい「ウド群馬1号」を得て、新品種候補とした。現在、農林水産省に「利根白:とねしろ」の名称で品種登録出願中であり、2004年に出願公表されている(第16880号)。
2. 「利根白」の特性
1)本品種は、秋季の株養成時において、茎の節間が短いため倒伏しにくく、時季はずれの萌芽が少ない(図1)。
2)本品種の緑化栽培における収穫開始時期は、群馬県在来「紫」とほぼ同じである。また、茎が太く、茎1本重が重い豊産種である(表1)。
3)本品種の軟白茎の形状は円筒形であり、地色は黄白色である。また、軟白茎には赤み(赤条線)がなく、葉柄基部の赤みも少ない。さらに、茎葉の緑色程度は中位であり、肉質は柔らかく、品質に優れる(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本品種は、3月以降に収穫する緑化栽培において、温室内の温度が上昇すると、葉柄が長くなりやすい。
2. 本品種の種株は、県外配布の予定は当面ない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ウド新品種育成試験
予算区分:県単
研究期間:2000〜2006年度
研究担当者:小泉丈晴、池田 洋、猿田正暁
発表論文等:小泉・池田(2005)群馬農技セ研報2:113-119

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