坊主不知ネギ新品種「足長美人」の育成


[要約]
坊主不知ネギ新品種「足長美人」は、主要病害のさび病に強く、収量性及び品質が優れている。軟白部には丸みがあり、基部が膨らみにくい。また、肉質が柔らかく、甘みが強く、食味は極めて良い。

[キーワード]ネギ、坊主不知、5〜6月どり、病害抵抗性、良食味

[担当]千葉農総研・育種研究所・野菜花き育種研究室
[連絡先]電話0475-32-3379
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 通常の根深ネギは5〜6月にネギ坊主(花茎)が出現して硬くなり、食用に適さないが、坊主不知ネギは抽台(花茎の出現)がなく、根深ネギの端境期である5〜6月に出荷されている。現在の主要系統である「向小金系」は、さび病、ウイルス病に弱く、首の締まりや肉質の硬さなどの品質面で劣るので、病害に強く、収量性・品質の優れた坊主不知ネギ新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
坊主不知ネギ在来品種「山口系」を子房親、千葉農総研育成坊主不知ネギ品種「五月姫」を花粉親として、1998年に人工交雑を行い、翌年に個体選抜、2000年以降系統選抜を行い、その中から有望な「育研3号」を選抜した。2004年に「足長美人」と命名し、登録申請を行い、2005年8月に出願公表された。
2. 「足長美人」の特性
1) 9月中旬定植における収穫時の分げつ数は6〜8本、株重は重く、抽台がほとんど発生しないため、収量性は高く、5月上旬〜6月上旬出荷に適している(表1)。
2) 葉鞘部(軟白部)の長さが35〜40cmと従来品種より長く、分げつによる葉鞘部の扁平化が少なく、葉身の分岐点の締まりは良好である。分げつ性のネギにみられる葉鞘基部の膨らみは少なく、一本ネギに近い形状を有している(図1)。
3)露地で自然発生するさび病は従来品種より少ない(図2)。
4)レンジ加熱、焼きネギのいずれでも、甘みが強く、肉質が柔らかい(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 軟白部分が長く、柔らかいので、土寄せ時に大量の土をかけすぎると、曲がり規格が多くなる。
2. 軟白部の仕上がりが慣行品種より5日程度遅いので、5月上中旬収穫では、止め土35日後から、5月下旬以降の収穫では、同30日後から収穫を開始する。
3. 主要な病害に強いので、農薬使用量の削減が期待できる


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ウイルス、さび病抵抗性坊主不知ネギ品種の育成
予算区分:県単
研究期間:1998〜2005年度
研究担当者:桑田主税、町田剛史、湯橋 勤、本居聡子、関 栄一
発表論文等:2004年12月17日品種登録出願(第17770号)

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