ナスのガク離脱に及ぼすエチレンと保管温度の影響


[要約]
市場流通の過程でナス果実に発生したガクの離脱(へたはずれ果)には、エチレンガスと保管温度の影響が大きい。エチレン濃度が高いと15℃以上で、濃度が低くても17℃以上で発生する。いずれの濃度でも25℃以上では保管開始1日後に発生する。

[キーワード]ナス、ガク、離脱、エチレン

[担当]群馬農技セ・生産技術部・野菜グループ
[連絡先]電話0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 2003年6月に群馬県産ナスが市場流通する過程で、ガクが離脱する現象(図1)が発生した。青ウメとの同時輸送の荷に発生したことから、植物ホルモン(エチレン)の影響が考えられた。そこで、ガク離脱の発生に対するエチレン濃度と保管温度の影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ポリエチレン袋にナス(品種:千両2号)とエチレンガス発生剤(商品名:エチレンライト)を入れ、恒温器内に保管した場合、ガクの離脱はエチレン濃度が低濃度(3〜20ppm)および高濃度(450〜700ppm)ともに発生し、高濃度では低濃度に比べてガクの離脱するまでの時間が短かい(表1)。
2. エチレン濃度が低濃度の場合には、保管温度の影響を強く受け、27℃以上では1日後に全ての果実で発生したが、15℃では処理開始4日後でも発生しない。また、ナスのみ保管した場合は、いずれの保管温度でも発生しない(表1)。
3. ガク離脱の発生を回避できる保管日数は、エチレンガスが高濃度の場合、保管温度21℃以下で1日、17℃以下で2日間であり、エチレンガスが低濃度の場合、23℃以下で1日、19℃以下で2日、15℃以下で4日間(4日間以上は未確認)である。

[成果の活用面・留意点]
1. エチレン生成量の多い品目(青ウメ、モモ、リンゴ、ネットメロン、完熟トマトなど)との同時保存・輸送をさける。
2. 夏期高温時や露地ナスの出荷時期は、ガク離脱が起こりやすいので注意する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ナスのガク離脱に及ぼすエチレンと保管温度の影響
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:金井幸男
発表論文等:金井・阿部 (2005) 群馬農技セ研報 2:161-162

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