高リコピン調理用トマトの品種と隔離床栽培による品質変動


[要約]
「ボンジョールノ」、「エスクックトール」はリコピン含有量が多く収量性(肥大性)の優れる調理用品種である。また、機能性成分であるリコピンやグルタミン酸、ビタミンC等の栄養成分は隔離床栽培により増加するが、収量は減少する。

[キーワード]リコピン含有量、隔離床栽培、トマト、品種

[担当]埼玉農総研・園芸研究所・野菜花担当
[連絡先]電話0480-21-1113
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、農産物に含まれるアントシアンやリコピンなどの機能性成分に関心が高まっている。そこで、リコピン含有量の高い調理用トマト品種の選定試験を行い、さらに隔離床栽培によるリコピン含有量の増加について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 果実1果重は、調理用トマトでは、「 ボンジョールノ」、「ティオクック」、「エスクックトール」が120g前後であり、「パスタ」、「エスクックショート」、「C8−908」は84.7〜108.6gと小さい(図1)。
2. リコピン含有量は生食用品種と比べ調理用品種で高い。β‐カロテンは、生食用・調理用品種とも差はみられない(図1)。
3. 供試した調理用6品種の中では、リコピン含有量が多く収量性(肥大性)が優れるのは「ボンジョールノ」と「エスクックトール」である。
4. 防根透水シートで根域制限する隔離床栽培で、いずれの品種ともリコピン含有量が約2倍程度に増加する(図2)。また、水分含有率が低下し、果実硬度、糖度、酸度、グルタミン酸含有量、ビタミンC含有量の増加がみられる(表1)。総収量は減少するが、上物率が向上する。

[成果の活用面・留意点]
1. 調理用品種は、隔離栽培において極端に灌水を少なくすると、生食用品種より尻腐れが発生しやすい傾向がみられるので注意が必要である。
2. 隔離床栽培することにより、機能性成分が増加するとともに、調理時の色彩が鮮やかになる傾向が見られる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:有色野菜の機能性を活かした地域特産物の開発(調理用トマト)
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:塚澤和憲

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