ペーパーポット育苗ではポリポット育苗よりもイチゴの花芽分化が早い


[要約]
イチゴ「紅ほっぺ」、「章姫」の育苗において、ペーパーポットを用いることにより、ポリポットに比べ鉢内培地温度が低下し、花芽分化を前進化できる。

[キーワード]イチゴ、花芽分化、ペーパーポット

[担当]静岡農試・海岸砂地分場
[連絡先]電話0537-86-2218
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ花芽分化前進のために多くの育苗方法が開発され普及しているが一長一短がある。そこで省力・低コストかつ環境負荷が小さいイチゴの花芽分化を前進化する技術の開発を目指す。ここではペーパーポット利用の効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ペーパーポット苗の花芽分化は黒及びシルバーポリポット苗と比較して「紅ほっぺ」で約7日、「章姫」で約10日前進する(図1、章姫データ略)。
2. ペーパーポットを用いると黒ポリポットに比較して日中のポット内の培地温が最大で7℃程度下がる(図2)。この日中の温度低下により花芽分化が前進化したと考えられる。
3. ランナー切り離し時、定植時の苗の生育(ペーパーポット9月21日、黒、シルバーポリポットは9月26日調査)は両者ともほぼ同等である(表1)。
4. ペーパーポットの形状の違いによる花芽分化前進化に差は、認められない(図3)。またイチゴ育苗専用培土の違いによる花芽分化前進化についても差は、認められない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. この成果は、品種「紅ほっぺ」「章姫」を7月29日に採苗して得られたものである。ペーパーポット利用による花芽分化前進化は採苗時期、品種によって効果が異なると考えられる。
2. ペーパーポットはポリポットより乾燥しやすいため、かん水回数、量には十分気をつける。
3. 育苗期間中のペーパーポットの崩壊はない。また定植の作業時間はポリポット苗と比較して10%程度短縮する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イチゴ‘紅ほっぺ’の早期収量安定化技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:井狩 徹

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