安定多収のための二番茶の摘採時期とせん枝の組み合わせ


[要約]
秋整枝後の茶株面から6cm下までの表層部分における古葉は、一番茶新芽の窒素含有量への寄与率が高い。二番茶後にせん枝する茶園では、二番茶を早期に摘採する方が、秋季におけるこの部分の葉重が大きくなり、また、翌年一番茶の新芽数も極端に減少しない。

[キーワード]チャ、整せん枝、二番茶

[担当]静岡茶試・栽培研究
[連絡先]電話0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 乗用型摘採機の普及に伴い、二番茶後に葉層が無くなる程度のせん枝をして樹高の上昇を抑える栽培方法が増加してきた。一方、中山間地の有機栽培では夏季の病害虫忌避のため、温暖な地域では夏季の徒長枝を抑制するために二番茶後のせん枝が恒常的に行われている。しかし、二番茶後にせん枝した茶園は、秋整枝後の葉量と一番茶新芽数の極端な減少や干ばつなどの被害助長が問題視されており、収量面で安定した栽培技術でないとさている。そこで、秋整枝後の葉層が充実して翌年一番茶新芽数の極端な減少が起こらない二番茶後のせん枝方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 秋整枝面下の古葉の窒素含有率には、一番茶芽の生育前は高く摘採期に低下する特性があり、窒素含有量の変化は表層から6cm下までの範囲で大きく(図1)、窒素は新芽の生育に伴って古葉から新芽に移行していく。
2. 二番茶後に整枝した茶園では、二番茶摘採の早晩が秋季の樹冠形成に及ぼす影響は大きくないが(図表省略)、二番茶後にせん枝した茶園では、二番茶摘採が早いと秋整枝位置から6cm下までの範囲の葉重と秋整枝位置付近の芽数が増加する(図2)。
3. 二番茶後のせん枝は、翌年一番茶の新芽数の減少を招くが、二番茶を早期に摘採してせん枝した茶園では、新芽数の極端な減少は起こらない(表1)。
4. 二番茶後のせん枝時期については、二番茶摘採直後から2週間後までの範囲で影響を調査したが、秋季の樹冠形成や翌年一番茶に及ぼす影響は認められない(図表省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 適応条件は、二番茶摘採位置から6〜8cm下(残葉が0〜1枚)のせん枝強度である。
2. 二番茶後にせん枝した茶園では、一番茶の品質が低下しやすい傾向があるので、早めの摘採を心がける必要がある。
3. 3年間以上の連年実施が茶樹の生育に及ぼす影響については不明である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:茶園の機械化のための樹高上昇抑制技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者名:中野敬之、大石哲也

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