細粒黄色土壌における8年間の施肥量削減による一、二番茶の生育、収量


[要約]
年間窒素施用量を8年間継続して削減したほ場において、10アールあたり窒素施用量27kg以下では一、二番茶の生育及び収量に影響があるが、窒素施用量40kgでは54kgと生育及び収量はほぼ同じであり、窒素施用量削減の影響はみられない。

[キーワード]チャ、窒素施用量、生育、収量

[担当]静岡茶試・土壌肥料研究
[連絡先]電話0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 茶園での施肥量は他の作物に比べ多く、溶脱した肥料成分が環境に及ぼす影響が指摘されている。一方で、年間窒素施用量を継続して削減した場合の茶生産への影響が懸念されているため、1998年より窒素施用量10アールあたり54kgに対して、40kg、27kg、0kgの処理区を設けたほ場で、茶樹の生育、収量に対する影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 窒素施用量削減の継続(1998年処理開始から8年間)により、二番茶では0kg及び27kgで枠摘み芽数の減少及び出開き度が遅延する生育への影響があり、一番茶でも0kgで二番茶と同様の傾向がある(表1)。
2. 収量は、0kgで一、二番茶ともに減少し、27kgでは処理8年目で二番茶が減少する。全窒素含有率は一、二番茶ともに明らかな差はない。(表2)。
3. 40kgでは、54kgとの間で、一、二番茶の生育及び収量、全窒素含有率で差がなく、窒素施用量削減の影響はみられない(表12)。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験ほ場は静岡県茶業試験場内にあり、土壌の種類は細粒黄色土である。
2. 2010年を目標とした静岡県チャ施肥基準(一般成木園)10アールあたり年間窒素施用量40kg実施のための基礎資料とする。
3. リン酸、カリも窒素量と同比率で削減し、施用している。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:茶樹の栄養状態と収量・品質との関係
予算区分:国補
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:成島光昭、青山正巳

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