小瓶の中でトルコギキョウを開花させる培養方法


[要約]
矮性のトルコギキョウを用い、播種から4週間後に通気を開始し、播種から1回目の移植まではMS培地、2回目の移植をショ糖濃度40g/lのハイポネックス培地で培養することにより、小瓶の中に草丈約8cmでトルコギキョウを開花させることができる。

[キーワード]トルコギキョウ、ハイポネックス培地、通気、ショ糖濃度、小瓶

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・生物工学グループ
[連絡先]電話0561-62-0085(内線385)
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 鉢花用のトルコギキョウ「トムサムシリーズ」(福花園種苗(株))は、草丈25cm前後で開花する矮性の品種群である。これを更に小さくすることにより、小瓶の中で咲かせることができれば、鉢花とは異なる新しい需要を開拓することができる。そこで、小瓶の中で開花させる方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 播種から開花まで25℃、照度5,000lux・16時間照明で培養する。培地のpHを5.8に調整し、固化剤にゲルライト3g/lを用いる。種子は次亜塩素酸ナトリウム溶液で表面殺菌し、MS培地に播種する。播種から4週間後に1回目の移植(MS培地)をして、さらに4週間後に450mlの培養瓶に2回目の移植(ハイポネックス培地)を行う。(図1
2. 2回目の移植にハイポネックス培地(微粉ハイポネックス®13g/l,CaCl2440mg/l, MgSO4370mg/l)を用いると、MS培地より草丈が短く、開花率も高く、さらに着花数が多くなる。(表1
3. 2回目の移植に用いるハイポネックス培地のショ糖濃度が、0,5,10,20,30,40,60g/lと高くなるにしたがって草丈が短くなり、着花数が増加する。着花数3個以上、草丈約8cmにするには、ショ糖濃度40g/lが適している。(表2
4. 通気培養(ミリシール2枚)を開始する時期は、生産コストと商品価値にかかわる開花率、開花所要日数、草丈及び着花数から判断して、播種4週間後が最も適している。(表3

[成果の活用面・留意点]
1. トルコギキョウ矮性品種群が本培養法に適している。切り花用品種は適さない。
2. 通気による培地水分の減少量が大きいため、3週間おきに培地に10mlの水を補給する必要がある。
3. 花の観賞期間は3〜4週間で、切り花よりも長い。
4. 培養法は、愛知県と福花園種苗(株)、共同で特許出願中である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題:新規蛍光タンパク質等遺伝子導入による観賞用植物の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:大石一史、黒柳悟、大矢俊夫、伊藤夢子(福花園種苗(株))
発表論文等:大石ら 特願2005-145358号「ユーストマ属植物の栽培方法」

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