追熟に伴う果実の収縮を指標とした温室メロンの食べ頃判定法


[要約]
温室メロンの追熟に伴う果実の収縮を、収穫直後の果実赤道部に着装した測定部位15cmの合成紙のベルトと専用のゲージで測定することにより、ゲージ値と果肉硬度との関係に基づいて、ゲージ値が3cmになった時点を食べ頃として判定できる。

[キーワード]メロン、食べ頃判定、追熟、果肉硬度、赤道部外周、ゲージ

[担当]静岡農試・生物工学部・品質流通
[連絡先]電話0538-36-1558
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 温室メロンの食べ頃は、収穫時の熟度や追熟中の温度条件に左右され正確な予測が難しいことから、消費者自らが行える簡易な熟度判定技術の確立が必要である。そこで、追熟に伴う果実の収縮は熟度(果肉硬度)と高い負の相関関係があることと、これまでに開発した果実赤道部外周の微小な減少を増幅させて測定する方法とを利用して、食べ頃判定法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 食べ頃の判定方法は、(1)収穫直後の温室メロン果実赤道部に、長さ15cm(両端の着装部位を含めると17cm)の合成紙のベルト(ポリプロピレン樹脂製、厚さ80μm、幅1cm)の両端1cmを果面にテープ等で、ベルトにゆるみと張りが生じないように固定する、(2)追熟に伴い果実が収縮して生じるベルトと果面の間の隙間に、ゲージ(ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)樹脂製、厚さ1mmの直角三角形で鋭角の角度8°)をベルト中央部に差し込み、ベルトが張るまでゲージ上端部を指で軽く叩く、(3)ゲージの値をベルト上端部で読み取る、の3工程である(図1)。
2. 赤道部外周15cm間におけるゲージ値と果肉硬度との間に高い負の相関関係が認められ、ゲージ値から果肉硬度を±0.03kgの誤差で推定できる。適熟(食べ頃)の果肉硬度0.35kgに対応するゲージ値は、3cm付近である(図2)。
3. 赤道部外周15cm間におけるゲージ値は、熟度の進行(打音解析法を用いて測定した固有振動値の減少)とともに増加する(図3)。固有振動値とゲージ値との間には高い負の相関関係(r=-0.959***)が認められる(データ略)。
4. 食べ頃のゲージ値を3cm(果肉硬度0.35kg、固有振動値220Hz付近)とした場合、食べ頃当日を同一果実の食べ頃前日と判別できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本データは、室温20℃、85%RH、出荷用段ボール箱に詰めた条件で追熟させたものである。追熟中の湿度条件や果実包装の有無、また、追熟温度が低く追熟日数を長く要した場合など、食べ頃の果実の水分減耗が大きくなると食べ頃のゲージ値がやや大きくなるので確認する必要がある。
2. 本手法は、温室メロン以外のアールス系ハウスメロンにも適応できるが、食べ頃のゲージ値は品種により異なるので、対象品種別にゲージ値と果肉硬度の関係を確認する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:温室メロンの食味を構成する要因の解明と賞味適期予測技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:荒川博、大場聖司、今原淳吾
発表論文等:特許申請 特願2004-329576

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