コシヒカリにおける背白粒および基白粒の発生要因


[要約]
背白粒および基白粒は出穂後1〜14日の気温が高く、出穂期の葉色が淡く、玄米蛋白質含量が低くなる条件で多発しやすいが、単位土地面積当たりの籾数との関係はみられない。

[キーワード]コシヒカリ、背白粒、基白粒、玄米蛋白質、発生要因

[担当]三重科技セ・農業研究部・作物グループ
[連絡先]電話0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、三重県産コシヒカリの格付品質が極端に低下する年次がみられる。2001〜2005年におけるコシヒカリの1等米比率は20.8〜64.6%であり、背白粒、基白粒および乳白粒の発生が格付低下の主要因である。一方、これらの未熟粒は、登熟初中期の高温により発生することが知られているが、生育状態との関係を個々に示した報告は少ない。そこで、2001年以降のコシヒカリの栽培試験データを用いて解析を行い、これら未熟粒の発生要因を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 背白粒および基白粒の発生率は、出穂後1〜14日の平均気温との間に正の相関があり、出穂期の止葉葉色および玄米蛋白質含量との間に負の相関がある(表1)。出穂後1〜14日の平均気温が27℃以上で、出穂期の止葉葉色が淡く、玄米蛋白質含量が低くなる条件で多発する(図1)。
2. 背白粒および基白粒の発生率と単位土地面積当たりの籾数に相関関係はみられない(表1図2)。
3. 背白粒および基白粒は、登熟初期が高温で、さらに出穂期における稲体の窒素栄養が充分でない条件で発生しやすいと推察される。
4. 乳白粒発生率と単位土地面積当たりの籾数との間に有意な相関関係はみられないが(表1)、出穂後8〜14日の平均気温が27℃未満の場合に限れば、両者の間に正の相関が認められる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 玄米蛋白質含量が高くなると、食味は低下する傾向にあることから、高温年における適正な生育指標を品質と食味の両面から検討する必要がある。
2. 今回の玄米品質調査では、背白粒および基白粒は整粒と判断される軽微なものを含み、乳白粒には緑色を呈するものを含む。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:県産米品質低下要因の解明と安定栽培技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:中山幸則、神田幸英、北野順一

目次へ戻る