六条大麦「シルキースノウ」の奨励(認定)品種採用


[要約]
早生・短強稈・多収で、大麦縞萎縮病に極強で、精麦白度が優れ、炊飯後の褐変程度が低い六条大麦「シルキースノウ」を奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]六条オオムギ、大麦縞萎縮病抵抗性、精麦白度、炊飯後褐変

[担当]栃木農試・作物経営部・作物品種開発研究室
[連絡先]電話028-665-7087
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物(冬作物)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 栃木県では小麦、六条大麦、ビール大麦が合計で約16,000ha作付されている。六条大麦の作付は約2,000haであり、その内、精麦用途向け「シュンライ」が96%を占めている。しかし、近年栃木県産「シュンライ」は連作地や畑地に作付け拡大されたことなどから硝子粒が多くなってきていることや「ファイバースノウ」に比べ精麦白度が劣ることなどから、実需評価が低下してきている。このため、「シュンライ」に比べ硝子率が低く、精麦白度がやや高い品種を選定し、精麦用大麦栽培地帯での高品質化と安定生産を図る。

[成果の内容・特徴]
 「シルキースノウ」(組合せ:関東皮73号/東山皮86号)は「シュンライ」と比較して、次のような特徴があり、奨励(認定)品種として採用する。
(1) 出穂期は3〜4日早く、成熟期は2日早〜1日晩で同熟期の早生種である。(表1
(2) 稈長は短く、穂長は同程度〜やや長い。穂数はやや多い。(表1
(3) 耐倒伏性はほぼ同程度で優れる。(表1
(4) 収量性は同程度〜やや多く、多収である。(表1
(5) 容積重はやや重い。千粒重はやや軽い。粒の外観品質は同程度である。(表1
(6) 縞萎縮病抵抗性は「極強」で優れる。(表3
(7) 精麦白度が高く、砕粒率が低く、炊飯後褐変程度が低く優れる。(表2表4

[成果の活用面・留意点]
1. 栃木県下一円の水田転換畑大麦栽培地帯で普及を図る。普及見込み面積は約2,000ha。
2. 出穂期が早いので極端な早播は避けるとともに、晩播は加工品質低下の恐れがあるため適期播種に努める。
3. 耐倒伏性は「シュンライ」と同等に強いが、基肥の多肥栽培は加工品質低下と倒伏助長の恐れがあるので避ける。
4. 穂数が多く、播種量を多くすると加工品質低下の恐れがあるため、「シュンライ」より播種量を少なくする。
5. 赤かび病に対しては「シュンライ」と同様に抵抗性が無いので防除は徹底する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2001〜2004年度
研究担当者:湯澤正明、池田二朗、山口正篤

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