肥効調節型肥料によるコムギ不耕起播種栽培の収量・品質の安定化


[要約]
不耕起播種栽培において播種同時に播種条にシグモイド型30日タイプ被覆尿素(以下、S30)とシグモイド型40日タイプ被覆尿素(以下、S40)を1:1に施肥すると収量・品質は安定する。S30は収量にS40は蛋白質含量・容積重に効果的である。

[キーワード]コムギ不耕起播種、肥効調節型肥料、播種同時同条施肥、収量、品質

[担当]愛知農総試・作物研究部・作物グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物(冬作物)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 不耕起播種栽培コムギは、耕起栽培に比べ播種期が2週間程度早く大規模農家にとっては早生品種イワイノダイチと組み合わせると一層播種期間が拡大できるなど、作業分配上導入効果が高い。しかし、不耕起播種コムギは根域が狭いため湿害や春先の生育低下を生じ、収量・品質は安定していない。そこで、湿害対策、蛋白質含量向上に効果があると思われる肥効調節型肥料を播種同時同条に施用することで不耕起播種栽培の高品質安定生産を目指した。

[成果の内容・特徴]
1. 供試肥料の溶出パターンは、S30は2月上旬から溶出開始し、5月上旬に溶出率80%に達する。S40は3月中旬から溶出開始し、5月下旬に溶出率70%に達する(図1)。
2. シグモイド型肥効調節型肥料は10a当たり窒素成分で4kg(以下、4Nkg/10a)を播種同時同条施肥しても出芽及び初期生育に影響はみられず、生育は安定し収量・品質は向上する。(表1図2)。
3. S30は収量に、S40は蛋白質含量に効果が大きい。しかし、S40単剤施肥は外観品質を低下させる恐れがある(表1)。
4. S30とS40を1:1に混合した肥料(以下、S30・40)は、収量は高く、外観品質が低下せず(データ省略)、蛋白質含量は高まり、容積重は大きくなる(図2)。
5. 以上のことから、不耕起播種栽培の高品質安定生産には慣行施肥体系にS30・40を4Nkg/10a播種同時同条施肥することが有効である。

[成果の活用面・留意点]
1. この施肥法は不耕起V溝播種機による11月上旬播種栽培に適用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:東海の水田輪換畑における有望早生小麦品種・系統の収量・品質安定化栽培技術の開発
予算区分:ブラニチ1系
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:谷 俊男、林 元樹、平岩 確、小出 俊則

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