チェーンポット内施肥による夏どりネギの減窒素肥料栽培


[要約]
肥効調節型肥料のチェーンポット内施肥により、夏どりネギは収量を確保しつつ大幅に減肥できる。100日タイプの肥料をチェーンポット内に6kgN/10a施用し、9kgN/10aを追肥すると38%の減肥となる。また、140日タイプの肥料をチェーンポット内に12kgN/10a全量基肥施用すると50%の減肥が可能である。

[キーワード]チェーンポット内施肥、肥効調節型肥料、夏どりネギ、減肥

[担当]千葉農総研・生産環境部・環境機能研究室
[連絡先]電話043-291-9995
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 夏ネギの施肥基準窒素量は基肥窒素8kg/10a、追肥窒素16kg/10aの合計24kg/10aである。一方、ネギの窒素吸収量は、9kg/10a程度(千葉県野菜施肥プロ:2002)であることから、施肥窒素利用率の向上により減肥が可能と考えられる。
 現在、千葉県内のネギ産地ではチェーンポット育苗が80%程度普及している。そのため、肥効調節型肥料を育苗箱に直接投入するチェーンポット内施肥による減肥法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 肥効調節型肥料である被覆燐硝安100日タイプ(2401-100S)をチェーンポット内に 4〜6kgN/10a施用し、16kgN/10aを追肥した栽培は標準施肥栽培と同等の収量が得られる(図1)。
2. 被覆燐硝安100日タイプをチェーンポット内6kgN/10a施用した場合、追肥9kgN/10aで標準区と同等の収量が得られる(図2)。この場合、総施肥量が15kgN/10aとなり、標準の24kgN/10aに対し38%の減肥となる。
3. 被覆燐硝安140日タイプ(2401-140S)を用いて、チェーンポット内全量窒素施肥法を検討した。施肥量を12kgN/10aとすることで、追肥なしで標準区と同等の収量が得られる(図3)。この場合、標準の24kgN/10aに対して50%の減肥となる。

[成果の活用面・留意点]
1. 残存窒素が多い場合(硝酸態窒素5mg/100g乾土以上)には、基肥と追肥方式の被覆 燐硝安100日タイプが適する。地力窒素を利用し追肥窒素の軽減が期待される。残存窒 素が少ない場合は、基肥一発方式の被覆燐硝安140日タイプが適する。
2. 被覆燐硝安100日タイプ、温度25℃一定の場合、施肥後30日までの窒素溶出が1%以 下で、施肥後30〜100日にかけて約80%の窒素を溶出する。被覆燐硝安140日タイプは、 同様に40〜140日にかけて約80%の窒素を溶出する。
3. 被覆燐硝安は、N-P2O5-K2O=24-1-0である。リン酸は成分で20〜30kg/10aを、加里は成分で15〜20kgを、別途全面に施用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ネギの減肥栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:山本二美、松丸恒夫、小林広行

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