酸素消費量による生ごみ堆肥熟度診断時の水分条件


[要約]
生ごみ堆肥の酸素消費量推移と植物生育は負の相関を示す。試料を乾燥粉砕した後、水分50%に加水し36℃で1日培養することにより再現性のある酸素消費量値が得られ、熟度診断の信頼性が向上する。

[キーワード]生ごみ、堆肥、熟度、酸素消費量

[担当]埼玉農総研・生産環境担当
[連絡先]電話048-521-9461
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料部会
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 生ごみ堆肥の熟成が進み植物の生育が向上するに従って堆肥の酸素消費量値が低下する傾向がある(平成16年度成果情報{埼玉農総研})。しかし、生ごみ堆肥は水分変動が激しいことや酸素消費量値にバラツキが大きいことが問題であり、再現性のある測定条件の確立が必要である。

[成果の内容・特徴]
1. 未熟な生ごみ原料堆肥は、熟成が進み植物の生育抑制がなくなるのに対応して酸素消費量値が低下する。このことから、酸素消費量は生ごみ堆肥の熟度診断の指標となる。しかし生試料は、水分・温度条件を統一(60%水分36℃1日保温)してもバラツキが大きい(図1)。
2. 未熟生ごみ堆肥を乾燥粉砕した試料の水分条件を検討した結果、50%水分に加水し36℃で1日培養した条件で、原体堆肥と同程度の酸素消費量値が得られる。水分条件30%、70%ではその値は原体値より低く、正しく熟度を判断することが困難である(図2)。
3. 乾燥粉砕試料は水分条件にかかわらず2連反復時の差は1μg/g/min以内である。乾燥・粉砕することで均一性が増し、再現性が向上する。
4. 70%に加水した乾燥粉砕試料は、黒土(市販園芸用土を乾燥し2mmの篩いを通した物)未添加の泥濘状状態では酸素消費量値は低いが、黒土を添加し50%に水分に落とすことにより原体と同程度の酸素消費量値がえられる(図3)。過湿な堆肥を生のまま測定する場合はこの方法で水分を落とすことが出来る。

[成果の活用面・留意点]
1. 酸素消費量測定装置は、富士平工業製の「コンポテスター」を用いた。
2. 最終的な熟度は、植物を用いた栽培試験で確認することが望ましい。
3. 検体の乾燥・粉砕は均一性と再現性を確保する重要な要因である。
4. 使用する黒土は単体で酸素消費量値を示さないことをあらかじめ確認する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:都市系食品バイオマスの資源化・リサイクル促進戦略
予算区分:先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(国庫10/10)
研究期間:2005年度
研究担当者:佐藤一弘、日高伸

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