コムギ品種「あやひかり」、「タマイズミ」の赤かび病抵抗性は弱い


[要約]
三重県で栽培されるコムギ品種「あやひかり」、「タマイズミ」は「農林61号」、「ニシノカオリ」に比べ、赤かび病抵抗性が弱い。

[キーワード]コムギ赤かび病、品種抵抗性、あやひかり、タマイズミ

[担当]三重科技セ・農業研究部・循環機能開発グループ
[連絡先]電話 0598-42-6360
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 三重県のコムギ栽培では「農林61号」に替わる準硬質系の品種として「あやひかり」、「タマイズミ」、「ニシノカオリ」の導入が進んでいる。これまで品種の選定に当たって、製粉適性、加工用途の有無が重要視されてきたが、赤かび病によるコムギ粒のDON(デオキシニバレノール、かび毒)汚染が問題となっている昨今、栽培品種の赤かび病抵抗性程度についても注意する必要がある。そこで、県内に栽培されているコムギ4品種の赤かび病に対する抵抗性程度を評価する。

[成果の内容・特徴]
1. 赤かび病少〜中発生の圃場検定で、「あやひかり」、「タマイズミ」は発病穂率、発病度、被害粒率およびコムギ粒のDON濃度が「農林61号」、「ニシノカオリ」に比べ高い(図1)。
2. 本病が多〜甚発生の温室検定で、「あやひかり」、「タマイズミ」、「農林61号」は発病穂率、被害粒率が「ニシノカオリ」より高い(図2)。
3. 一般栽培圃場でも、「あやひかり」、「タマイズミ」は、赤かび病の発生が「農林61号」、「ニシノカオリ」より多い(表1)。
4. 以上のことから、「あやひかり」、「タマイズミ」、「農林61号」、「ニシノカオリ」の4品種はいずれも品種特性の赤かび病抵抗性が同じ中程度とされているが、「あやひかり」、「タマイズミ」は「農林61号」、「ニシノカオリ」に比べ抵抗性が弱く、コムギ粒のDON汚染の危険性が高い。

[成果の活用面・留意点]
1. 赤かび病の防除対策およびDON汚染軽減対策の参考となる。
2. 「あやひかり」、「タマイズミ」は、栽培圃場で赤かび病の多発が予想される年は、薬剤防除を主体とする防除対策の徹底を図る必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:コムギ赤かび病菌の毒素(DON)汚染軽減技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:黒田克利、鈴木啓史

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