ベニバナインゲンに発生した3種の新土壌病害


[要約]
茨城県が育成したベニバナインゲン新品種「常陸大黒」に発生した土壌病害は、白絹病、リゾクトニア根腐病、茎根腐病である。

[キーワード]ベニバナインゲン、新病害、土壌病害、マメ

[担当]茨城農総セ農研・病虫研究室
[連絡先]電話029-239-7213
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ベニバナインゲンの土壌病害は未記載のものが多く、整理されていない。防除法を確立するためには、発生病害を明らかにする必要がある。そこで、発生した土壌病害を明らかにし、防除対策の基礎とする。

[成果の内容・特徴]
1. 2004年7〜8月に水戸市上国井町および大子町頃藤で発生した土壌病害の病徴は、株の地際部が水浸状の病斑を生じ、葉は黄化し、地上部は萎凋する。病害の進展にともなって根部は腐敗して地上部は枯れ上がり、枯死に至る。罹病株の茎地際部および株周辺の土壌には、白色で絹糸状の菌糸が絡みつき、乳白色〜赤褐色の球形〜亜球形の菌核の形成が認められる(図1)。分離菌の形態的特徴、生育温度特性は、Sclerotium rolfusiiの記載とほぼ一致し(表1)、発生した土壌病害はベニバナインゲン白絹病(新称)である。
2. 2004年7〜8月に常陸太田市折橋町で発生した土壌病害の病徴は、地際部が暗褐色、水浸状の病斑を生じ、褐変して細くくびれ、枯死に至る。葉は黄化し、生気を失って地上部は萎凋する。根部は黒褐色に腐敗する(図1)。分離菌の形態的特徴、生育温度特性は、Rhizoctonia solani Kühn の記載とほぼ一致し(表2)、発生した土壌病害はベニバナインゲンリゾクトニア根腐病(新称)である。
3. 2004年7〜8月に常陸太田市徳田町で発生した土壌病害の病徴は地際部が暗緑色、水浸状の病斑を生じる。病斑部は乾燥すると褐変する。葉は黄化、部分的に壊死し、生気を失って地上部は萎凋する。根部は茶褐色に腐敗し細根は脱落する(図1)。分離菌の形態的および培養的特性は、Pythium myriotylum の記載とほぼ一致し(表3)、発生した土壌病害はベニバナインゲン茎根腐病(新称)である。
4. これらの土壌病害は、地際部〜根部の病徴あるいは菌核の形成等から判別することができる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 発生した土壌病害の正確な診断により適切な防除指導が可能となる。
2. クロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒はマメ類の白絹病に農薬登録されており、本病にも適用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:拮抗微生物を核とした特産マメ類立枯性病害防除システムの開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:渡邊 健、本橋みゆき、東條元昭(大阪府大)
発表論文等:渡邊・本橋(2005)関東病虫研報52:19-23.

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