豆腐がおいしい大豆品種「たまうらら」の栽培特性と収穫適期幅の拡大


[要約]
大豆「たまうらら」は豆腐の食味に優れる早熟な品種である。標準播の適正栽植密度は16.7本/m2程度である。「たまうらら」や「あやこがね」を組み合わせた作付体系により、収穫期が分散し、刈取可能面積が拡大される。

[キーワード]ダイズ、たまうらら、豆腐、食味、収穫適期、栽植密度

[担当]新潟農総研・作物研
[連絡先]電話0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 北陸地域の大豆作付品種は中生の「エンレイ」が9割以上を占め、刈遅れによる品質低下が問題となっている。新潟県では収穫期を分散するため、「エンレイ」より早熟で豆腐の食味に優れる「たまうらら」を種子対策品種に選定した。そこで、「たまうらら」の栽培法を確立し、播種期と品種を組み合わせた作付体系により、収穫機械の有効利用と大豆の生産振興を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 「たまうらら」の晩播(6月20日頃播種)は主茎長が短く、最下着莢高は10cm以下となる。また、標準播(5月末頃播種)に比べて晩播では有効莢数が減少し、収量は約2〜3割低下する。生育、収量から播種期は標準播(5月末〜6月上旬)が適する(図1図2表1)。
2. 機械収穫の刈高さを地際10cmと想定した場合、標準播の適正栽植密度は16.7本/m2程度である(図1)。
3. 「たまうらら」を用いた豆腐の食味評価は、「エンレイ」よりやわらかいものの、うま味が高く、えぐ味が少なく、総合評価は「エンレイ」より優れる(表2)。なお、播種期と栽植密度による食味の違いは見られない。
4. 刈取可能面積を試算し、標準播「エンレイ」のみの作付体系と比較した場合、標準播「たまうらら」と標準播「エンレイ」の組み合わせでは約1.3倍、標準播「エンレイ」と晩播「あやこがね」の組み合わせでは約1.6倍、標準播「たまうらら」と晩播「あやこがね」の組み合わせでは約1.9倍となる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種や播種期を組み合わせることで、収穫や調製などの作業が分散できる。
2. 「たまうらら」は早播きすると裂皮粒の発生が多くなるので、5月末〜6月上旬に播種する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:重粘土壌における大豆の品質向上技術の確立と多収条件の解明
予算区分:ブラニチ2系
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:服部誠、田村隆夫、秋本隆司、市川岳史、宍戸功一、金井政人、田村良浩

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