オオムギ雲形病抵抗性の評価は圃場試験を主体に行う必要がある


[要約]
オオムギ雲形病では、レースにかかわらず、幼苗接種試験で抵抗性と判定された品種の多くが、圃場試験で出穂期以降に著しく発病する。このため、抵抗性品種育成のための評価は圃場試験を主体に行う必要がある。

[キーワード]オオムギ、雲形病、抵抗性、圃場試験、幼苗接種試験

[担当]中央農研・北陸水田利用部・畑作物育種研究室
[連絡先]電話025-526-3246
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物、作物・冬作物
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 雲形病は北陸地域におけるオオムギの主要病害であり、多発生すると収量が減少することから、抵抗性品種の育成が望まれている。これまで、幼苗接種試験や圃場試験による雲形病抵抗性の評価に関する報告はあるが、我が国において両者を詳細に比較・検討した事例はない。そこで、我が国で広く分布しているレースJ−4aと、それとは病原性が異なるレースJ−7を用いて、幼苗接種試験において発病程度が異なる品種・系統を対象に圃場発病程度を比較し、抵抗性品種育成のための基礎的知見を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 圃場試験では出穂4週間後まで病勢は進展するため、品種の発病程度は登熟後期まで調査する必要がある。幼苗接種試験で抵抗性(罹病程度0〜2)と判定されても、圃場試験で出穂期から著しく発病している品種がある。この傾向はレースJ−4a、J−7のいずれにおいても同様である(図1)。
2. 雲形病のレース検定に用いられる判別品種においても、幼苗接種試験の反応型と圃場試験の発病程度は一致しない(表1)。
3. 圃場試験の結果、レースJ−7に対しては、明確な抵抗性品種は認められない。レースJ−4aに対しては、2ヶ年の圃場試験を通して雲形病に強い品種(Brier、Hudson、北陸皮41号、大麦さび系3号)が存在する(表1)。
4. 以上のことから、品種育成のためには、レースごとに圃場において登熟後期の抵抗性を評価する必要がある。

[成果の活用面・留意点]
1. 雲形病抵抗性品種の育成に活用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:雲形病抵抗性高品質大麦品種の開発
課題ID:03-11-08-01-05-04
予算区分:ブラニチ1系
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:中村恵美子、伊藤誠治、馬場孝秀、森脇丈治
発表論文等:中村ら(2005) 北陸作物学会報40:51−54.

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