アカヒゲホソミドリカスミカメの各種殺虫剤に対する感受性


[要約]
アカヒゲホソミドリカスミカメの主要殺虫剤に対する感受性評価の基準となるLD50を明らかにした。

[キーワード]アカヒゲホソミドリカスミカメ、殺虫剤、感受性、LD50

[担当]新潟農総研・作物研・栽培科
[連絡先]電話0258-35-0047
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 アカヒゲホソミドリカスミカメでは、これまでにMEPに対する抵抗性発達が認められ、今後、他の殺虫剤についても抵抗性が発達する可能性が考えられる。本種は水田内での密度が低く、すくい取り調査等の結果からは抵抗性発達による防除効果の低下を確認することは困難で、また、防除効果の低下による斑点米の発生は大きな経済的損失につながる。このことから、主要薬剤については、定期的に感受性をモニタリングし、抵抗性発達の兆候を早期に捉えて対策をとることが重要である。
 そこで、感受性評価の基準値とするため、殺虫剤の影響が少ない系統を用いて主要殺虫剤のLD50を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 薬液0.5μlを、雌成虫の胸部背面に処理する。処理後は餌を与えて25℃で飼育する。
2. MEP、エトフェンプロックスでは薬液処理24時間後から48時間後にかけて死亡・異常個体の増加はほとんどない(図1)。効果の判定は、薬液処理24時間後または48時間後に行う。
3. シラフルオフェン、ジノテフラン、クロチアニジンは上記薬剤に比べ遅効性であり、また、薬液処理48時間後の調査で異常個体と判定した個体の一部が、その後回復し、48時間後から72時間後にかけて死亡・異常個体率が低下する場合がある(図1)。効果の判定は薬液処理72時間後に行う。
4. 感受性系統のLD50は、MEP16.2μg/g、エトフェンプロックス5.75μg/g、シラフルオフェン17.4μg/g、ジノテフラン0.145μg/g、クロチアニジン0.107μg/gである(表1)。
5. 供試個体群の検定結果をこの感受性系統のデータと比較し、感受性を評価する。

[成果の活用面・留意点]
1. 供試個体群の検定結果をこの感受性系統のデータと比較し、感受性を評価する。
2. 供試したアカヒゲホソミドリカスミカメは、2003年6月に新潟県見附市の雑草地で採集し、室内で10世代累代飼育した系統で、羽化後5〜10日の雌成虫である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:予察に基づくアカヒゲホソミドリカスミカメ防除体系の確立
予算区分:県単特別
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:石本万寿広
発表論文等:石本(2004)応動昆48:348−352.

目次へ戻る