肥効調節型肥料の条施肥による暗渠排出窒素の軽減効果


[要約]
キャベツ(夏まき秋冬どり)栽培では、牛ふん堆肥を2t/10a施用し、肥効調節型肥料を慣行施肥の50%量を条施肥することにより、収量を安定的に維持しつつ、暗渠から排出されるT-N量は慣行施肥量に比べ30〜60%程度軽減され、牛ふん堆肥4t/10aでは環境負荷を増大させる。

[キーワード]キャベツ、条施肥、肥効調節型肥料、T-N、低減

[担当]石川農総研・資源加工研究部・生物資源グループ
[連絡先]電話076-257-6974
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 野菜畑では生産性を重視した過剰な施肥により、地力の低下や河川、湖沼の富栄養化が大きな問題となっている。そこで、肥効調節型肥料と施肥位置や有機物施用との組合せにより、化学肥料の削減を図るエコ農法の環境負荷軽減効果と収量への影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 系外に排出される栽培期間中のT−N量は、肥効調節型肥料を条施肥することにより対照区に比べて、堆肥0tおよび堆肥2t施用区では30〜60%程度低減されるが、堆肥4t施用では対照区とほぼ同量もしくは増加する場合もみられる。(図1
2. 収量は、対照区に比較して条施肥・堆肥0t区では減収するが、条施肥・堆肥2tおよび4t区では同等の収量が確保できる(表1)。
3. 堆肥施用区では、施用量の増加とともに土壌中の腐植含量は高まる(図2)。
4. 施用N量に対するキャベツのN吸収割合は、堆肥施用量が増加するほど低下する。条施肥堆肥0t区では、施用N量より持ち出しN量が多くなり地力の損耗が示唆される(表2)。
5. 収量水準および地力を維持しながら、系外へのN負荷を低減するためには牛ふん堆肥は2t/10a程度の施用が必要であり、4t/10a連用では系外へのN負荷が懸念される。

[成果の活用面・留意点]
1. 試験ほ場は、造成時から野菜畑として利用されており土性はSL、暗渠は地表下50cmに、Ø50mmのコルゲート管が埋設され、暗渠排水は流量計を通して計測している。
2. 栽培期間中は、H14年(292mm)、H17(548mm)と降水量に違いがみられたが、系外に排出されるT−Nの処理間差は両年とも同様の傾向であった。


[具体的データ]




[その他]
研究課題名:野菜栽培におけるエコ農法支援のための土壌管理技術の確立
         エコ農法による環境負荷軽減効果の解
予算区分:国補
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:宮川 修

目次へ戻る