経営間連携を組み込んだ営農計画モデル


[要約]
複数の個別経営の営農計画モデルに、農作業の受委託、農産物の売買、中間生産物の交換・売買等に係わる経営間連携を組み込んだ営農計画モデルである。経営間連携が各個別経営へ及ぼす経済効果やその成立条件を評価することができる。

[キーワード]経営間連携、営農計画モデル、経済性評価、線形計画法

[担当]中央農研・農業経営研究チーム、関東飼料イネ研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8414
[区分]共通基盤・経営、総合研究(飼料イネ)、関東東海北陸農業・経営
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  地域の農業生産が多様な営農類型により担われる中で、これまで、相互の経営資源の活用を図る経営間連携が行われてきており、今後の経営展開においても益々その活用が期待されている。そのためには、経営間連携の有り様を評価して、その支援に役立つ知見を得ることが重要である。そのような評価においては、定量的な評価が可能な数理計画法による計画モデルの活用が有効な方法の1つであるが、それを効率的に実施できるツールは少ない。そこで、経営間連携を定量的に評価できる営農計画モデルを作成する。

[成果の内容・特徴]
1. 経営間連携に参加する個別経営の営農計画モデルを基礎に、それらに作業受委託、生産物の売買、共同作業、中間生産物の交換・売買等に係わる経営間連携を組み込み、統合した連携計画モデルである(図1)。最適化の指標は各個別経営の粗所得(粗収益−変動費)の合計額とした。
2. 図1の記述では、空白セルが大量に存在して単体表全体の把握が困難であるため、当成果の計画モデルの記述では、単体表を任意のプロセスの列で折り返しできるXLPの記述形式を利用して、個別経営の各単体表が左詰めに配置されて、単体表全体の把握が容易になるように記述されている(図2)。図3図2の上部の拡大図である。
3. 図2の形式で記述された計画モデルは、図1のような通常の単体表の形式で記述された計画モデルとしてXLPにより解釈され、線形計画法、目標計画法及び整数計画法の最適解が計算される。計算結果から、作業受委託や生産物の売買、中間生産物の交換等が各個別経営に及ぼす経済効果、経営条件変化の経営間連携への影響等を解明することができる。
4. 計画モデル(図3)の上部には、単位当たり生産量、作業能率等の技術水準、受委託料金、生産物価格、共同作業上限、助成金の額等の経営条件、各営農類型の戸数等の入力欄が配置されており、シミュレーション分析に必要な条件が設定される。
5. 最適化指標の変更により、経営目標の違い、経営目標間の調整等を処理できる目標計画モデルに修正することができる。
6. 当成果(ワークシート)は、Webページ(http://cse.naro.affrc.go.jp/ooisi/renkei.html)からダウンロードできる。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料イネの生産・利用を軸とした耕畜連携、米麦作経営と野菜作経営間の乾燥調製・農地貸借の連携など、種々の経営間連携を組み込む計画モデルの構築に活用することができる。
2. 当成果のユーザーには、線形計画モデルの作成方法に関する基本的な知識を有する普及指導員等を想定している。
3. 当成果の利用に必要なアプリケーションとして、ExcelとXLP(バージョン2.30以降)が必要である。


[具体的データ]

図1 経営間連携システムの営農計画モデル
図2 同前(当成果の記述形式)
図3 同前(図2の上部の拡大図)

[その他]
研究課題名:関東・東海・北陸における個別経営体の総合的経営管理手法及び多様な主体間連携による地域活性化手法の開発
課題ID:211-a
予算区分:関東飼料イネ
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:大石亘、田口光弘、千田雅之、岡崎泰裕、畑原昌明(埼玉県農総研)

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