単身者の品目別食料購入金額は男女差が大きい


[要約]
単身者の食料購入金額は、2人以上世帯よりも男女による違いが大きく現れる傾向を明らかにした。単身女性は同年齢で比較すると、2人以上世帯の男女のどちらよりも乳製品や生鮮果物を多く購入している。弁当の購入金額は、単身男性が常に最大である。

[キーワード]単身世帯、性別、乳製品、生鮮野菜、生鮮果物、弁当、家計調査個票

[担当]中央農研・マーケテイング研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8855
[区分]共通基盤・経営、関東東海北陸農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
  高齢化社会の進展は、若齢層ばかりでなく高齢層でも単身世帯の増加をもたらしている。総務省の「家計調査」において、2002年以降単身世帯の詳細な調査結果が報告されるようになったが、単身世帯の食料消費傾向を2人以上世帯との比較において検討したもの、特に個々の品目について購入実態を比較したものはまだない。食料消費を左右する要因として年齢及び性別に重点を置き、世帯属性の違いを考慮しながら、「家計調査」以外では入手不可能な個々の品目を取り上げて分析する。そのことにより、単身世帯の増加による将来の食料需要の変化に対応した農業生産及び食料供給体制の整備に向けた情報を提供する。

[成果の内容・特徴]
1. 2003年について全国の「家計調査」個票を使用し、世帯員1人当たりの品目別購入金額を、単身世帯(8,561世帯)については10歳ごとの単純平均値を計算し、2人以上世帯(92,968世帯)については、定数項のない重回帰分析により10歳ごとの推計値を求めた。
2. 乳製品の購入金額は、同年齢で比較して単身男性及び2人以上世帯の男女のどちらよりも、単身女性の方が多い(図1)。特に、チーズ、ヨーグルト、バターの購入金額は、30〜50歳代の単身女性で多い。
3. 生鮮野菜については、単身男性の購入金額が最も少ない(図2)。特に60歳未満の単身男性は、ほとんどすべての野菜の購入金額は少なく、ブロッコリー、さといも、にんじん、ごぼうは60歳以上でも購入金額は少ない。50歳以上の単身女性は、2人以上世帯の男女のどちらよりも生鮮野菜の購入金額は多い。単身女性の購入金額の多い品目は、ブロッコリー、さつまいも、だいこん、にんじん、かぼちゃ、トマトである。
4. 生鮮果物の購入金額は、同年齢で比較して単身男性及び2人以上世帯の男女のどちらよりも、単身女性の方が多い(図3)。単身女性の購入金額の多い品目は、りんご、みかん、ぶどう、ももであり、いずれも50歳以上で多い。
5. 弁当については、同年齢で比較すると単身男性の購入金額が常に最大である(図4)。弁当とは別の調査項目である、おにぎりや調理パンの購入金額は20〜40歳代の単身男性で多く、次に単身女性の支出が多い。

[成果の活用面・留意点]
1. 2人以上世帯と単身世帯、また年齢別・性別で個々の品目の購入金額が大きく異なることが明らかになったので、個別品目の需要予測のための基礎資料となる。
2. 2人以上世帯の年齢階層別性別購入金額は推計値である。
3. 「家計調査」個票は、総務省の承認を得て利用している。


[具体的データ]

図1.乳製品の1人当たり購入金額
図2.生鮮野菜の1人当たり購入金額
図3.生鮮果物の1人当たり購入金額
図4.弁当の1人当たり購入金額
(注) 年齢階層別性別購入金額の推計式

[その他]
研究課題名:消費者・実需者ニーズを重視した農産物マーケテイング手法の開発
課題ID:311-i
予算区分:受託(農林漁業金融公庫)
研究期間:2006年度
研究担当者:石橋喜美子

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