GPSの搬送波位相変化を利用した粒状物散布機の制御技術 |
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[要約] |
単独測位GPSの搬送波位相変化から得られる速度を積算することで、圃場内の位置を認識しながら、粒状物散布機の可変制御を行う技術である。軟弱土壌においてすべり率が変動する際にも速度に連動して正確な作業を行うことができる。 |
[キーワード]可変散布、粒状物散布機、GPS、単独測位、搬送波、速度連動、速度 |
[担当]中央農研・北陸大規模水田作研究チーム
[代表連絡先]電話:025-523-4131
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
大区画水田において生育や収量を均一にする技術として、肥沃度や生育のばらつきに応じた可変散布を行う栽培管理が有効である。また軟弱土壌においては、スリップにより作業速度が不安定となることが資材の散布精度に影響を及ぼす。これらの問題を解決するために、過去にRTK-GPSを用いた粒状物散布機の制御システムが報告されているが(H13年度成果情報)、実用化のためにはより安価なGPSを用いてのシステム構築が必要である。そこで単独測位GPSを用いて高精度に粒状物散布機の制御を行う技術を開発する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
単独測位GPS(アンテナおよび受信機)とGPS衛星からの搬送波の位相変化から速度を演算するボードコンピュータで構成されるシステムは、受信した搬送波の0.2秒毎の位相変化のうち、衛星の移動と基準発信器のドリフトに起因する変化をキャンセルすることでアンテナの単位時間当たりの移動量を速度(速さと方向)として算出する。本システムから得られる速さの誤差は概ね0.05 m/s以下、および方向の誤差はおおむね、2.9°以下である(図1) |
2. |
粒状物散布機は、ホッパ内の粒状資材を排出する繰り出しロールの回転の変化により散布量を制御する。可変散布を行う際には、作業前に散布マップと作業機の現在位置を制御装置に入力する。その際、圃場内あるいは圃場からの位置が既知の行程毎の圃場端などに作業機を停止させて位置入力を行う。作業中は、入力された作業開始位置とGPSから得られる速度の積算から圃場内の位置を認識し、走行速度も加味して繰り出しロールを駆動するモータを制御する(図2)。 |
3. |
搬送波の位相差から速度を演算する手法に基づく可変散布では、散布量が変わる位置のずれは設定に対して0.7m以内に収まる(図3)。 |
4. |
軟弱土壌においてすべり率が変動する際にも、実速度に連動してロール回転数が変化するため、すべり率によって生じる速度変動の影響を受けることなく作業を行うことができる(図4)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
速度積算から得られる位置は、作業が長時間におよぶ場合は誤差が積算されるので、数回の作業行程毎にコンピュータの画面操作により現在位置を入力することが望ましい。 |
2. |
均一散布を行なう際にも散布精度の向上のために活用できる。 |
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[具体的データ]
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[その他] |
研究課題名:北陸地域における大規模水田作の高精度管理技術と高品質飼料イネ生産技術の開発
課題ID:211-k
予算区分:基盤
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:帖佐直、大嶺政朗、深山大介(野菜茶業研究所)、森本英嗣(石川県農業総合研究センター)
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