収量計測システムに連動したコンバイン装着型分析試料収集装置


[要約]
GPS信号と各種収量センサの情報を統合する収量計測補助装置で指定されたタイミングで、コンバイン収穫時の試料の一部を収集して袋分けする。袋には収集位置が印字されたラベルが同封され、試料を分析することで収穫位置毎の品質のばらつきを把握する。

[キーワード]品質、収量、モニタリング、コンバイン、GPS、精密農業

[担当]中央農研・高度作業システム研究チーム
[代表連絡先]電話:025-523-4131
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  圃場内の収量および品質のばらつきを把握することは、管理履歴の評価とともに次年度の施肥や管理の方針を決定するうえで重要な情報となる。これまで「品質むらモニタリングのためのコンバインによる分析試料回収方法(H16年度成果情報)」が案出されているが、実用化のためには収集後の試料の取り扱いについて効率化の必要がある。また品質に関する情報は収量情報と重ね合わせることで、それぞれの活用の場面が広がり、より詳細な考察が可能となる。そこで、収量計測システムに連動して、効率的に品質分析のための材料を得るコンバイン装着型の分析試料収集装置およびその制御技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 分析試料収集装置は、誘導管、ストッカ(容量約300cc)、フィルムホルダ、スポンジ状の送りローラ、動作制御用のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)および電源装置等からなり、コンバインのグレンタンク側面に装着して使用する(図1)。
2. 刈り取り時には、グレンタンク内へ連続的に流れてくる穀粒の一部(全収量の5%未満)を、タンク内に挿入された誘導管を通じてストッカで受ける。コンバインが試料収集位置に到達したときにストッカが回転し、ストッカに貯えた穀粒をフィルムホルダに装着されたチューブフィルムへ移し替える。穀粒の入ったフィルムは、ローラにより下方へ送られ、フィルムの上部はビニタイで袋状に結束される。個別に袋分けされた試料は、コンテナに送られ収納する(図2)。例えば50g程度の試料を収集する場合、一度のチューブフィルムの装着で約90点連続収集できる。
3. 分析試料収集装置は、収量計測補助装置を基幹とした収量計測システムと連動して動作させることもできる(図3)。収量計測補助装置は、GPSの信号を受信するタイミング毎に、アナログ出力やパルス出力を有する収量センサの出力を平均化しその結果をGPSから受信したデータに付与してシリアルデータとして出力する。同時に、ディップスイッチにより指定された数(1〜255)のGPS信号の受信回数毎に分析試料収集装置の動作開始信号を出力する。このとき、位置情報とセンサ情報が印字されたラベルを分析試料に同封するので、作業後に試料の収集位置が把握できる。これにより、収量マップと同時に、試料を分析することで品質マップを作成することができる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 圃場内の品質と収量のばらつきを効率的にマップ化し、管理履歴として情報提供する。
2. 収集した収穫物は、位置情報付きサンプルとしてトレイサビリティーの参考となる。
3. 本システムは、グレンタンク側面に誘導管挿入口をあけ、本体フレームにネジ止めする治具を用いて固定する。コンバインは15kW以上の機種であることが望ましい。
4. チューブフィルムは不織布製のものもあり、高水分の試料を扱う際には、収集後に風通しのよい場所で保管するなどして、試料の劣化を回避するよう留意する。


[具体的データ]

図1  分析試料収集装置を搭載したコンバイン
図2  分析試料収集装置の動作概要
図3  分析試料収集装置の収量計測システムとの連動の概要
図4  同一圃場での品質マップ(左)と収量マップ(右)の例(対象作物:小麦「きぬの波」)

[その他]
研究課題名:農作業の高精度化・自動化等による高度生産システムの開発及び労働の質向上・評価指標の策定
課題ID:223-a
予算区分:精密畑作
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:帖佐直、大嶺政朗、細川寿、渡辺政一郎(群馬県農業技術センター)

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