高純度FSH製剤投与法の改良による過剰排卵処理成績の向上


[要約]
FSHホルモン純度の高い豚下垂体由来性腺刺激ホルモン(FSH-R)を用いた過剰排卵処理(SOV)で、1日2回(投与間隔8時間)の投与間についても1AUずつ減量しながら3日間実施(強漸減法)することで、採胚成績の良好な個体では、更に採取総数、正常胚数等の増加が望める。

[キーワード]黒毛和種、採胚良牛、過剰排卵処理、FSH、強漸減法、胚生産性向上

[担当]三重科技セ・畜産研究部・家畜改良繁殖担当
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  現在、黒毛和種に対するSOVは、1983年に先行して開発、利用されていたLH含有量の多いFSH製剤の投与手法を踏襲し、1999年以降に開発された高純度FSH製剤(D社、分子量約33,000、LH含量0.025IU/mg以下)の3〜4日間減量投与法(通常法・例;1日2回 5-5/3-3/2-2AUで3日間計20AU)が、一般的なプログラムとされているが、以前のFSHと成分特性が若干異なる本製剤について、より効果的な投与方法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. FSH-Rでの通常法による採胚成績が良好な個体(平均正常胚数5個以上、正常胚率60%程度)では、1日2回(投与間隔8時間)の投与間にも1AUずつ減量しながらSOVを実施する(強漸減法と仮称・例;1日2回 5-4/3-2/2-1AUで3日間計17AU)ことで、通常の減量投与法より1割程度少ない総量で、採胚成績が向上し、ホルモン剤使用量の節約や、抗ホルモン抗体産生低減が期待できる(図1)。
2. 強漸減法により、人工授精時のスタンディング発情発現には影響せず、中卵胞以上数の増加や卵巣のサイズが増大し、正常に排卵して、採胚時に嚢腫化することなく、黄体数は増加する(表1)。
3. 同法によって採取総数、正常胚数、A'ランク以上数が増加する等、採胚成績は向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 採胚成績の不良な牛群(平均正常胚数5個未満)には、シンプルな強漸減法だけでは明瞭な成績向上を期待しにくい可能性がある。
2. 強漸減法をベースに、あらかじめFSH-Rの総量および初回投与量を決定し、以降の投与量や投与回数について、新たなパターンを検討する余地があり、また、採胚成績不良群へは人閉経期性腺刺激ホルモン等、FSH-R以外の薬剤併用も考えられる。


[具体的データ]

図 1 FSH-R投与パターンの比較
表 1 SOVによる反応状況 (1頭1採胚平均)
表 2 採胚成績 (1頭1採胚平均)

[その他]
研究課題名:高付加価値胚作出技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:水谷将也、島田浩明

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