稲発酵粗飼料は泌乳牛用粗飼料として有用である


[要約]
稲発酵粗飼料をトウモロコシサイレージが不足しがちな夏〜秋季の粗飼料として利用する場合、泌乳前期牛では、オーツヘイとの代替が可能である。また、泌乳中後期の牛へ給与する場合、トウモロコシサイレージを粗飼料とした飼養法と同等の泌乳成績が得られる。

[キーワード]稲発酵粗飼料、泌乳牛、オーツヘイ、泌乳成績

[担当]茨城畜セ・酪農研究室
[代表連絡先]電話:0299-43-3333
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  関東地域では、稲発酵粗飼料の作付け面積、給与農家とも増加している。しかし、泌乳牛への利用は、稲発酵粗飼料の品質、供給量が不安定なこと、乳生産への影響の懸念などから、少量にとどまっている。一方、粗飼料の主体をトウモロコシサイレージとする酪農家では、当年収穫のトウモロコシのサイレージ開封前に粗飼料の不足が生じた場合、購入乾草で補うことが多く、飼料自給率を低下させる要因となっている。
  そこで、このような粗飼料の給与状況を改善するため、トウモロコシサイレージが不足する時期における稲発酵粗飼料の利用技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 本成果は、ホルスタイン種経産牛3頭ずつを各試験区に割り付け、9〜10月に行った1期3週間のクロスオーバー法による給与試験の成績であり、配合飼料、アルファルファヘイキューブ、ビートパルプを基礎飼料として、試験1では、主要粗飼料を稲発酵粗飼料(RWCS区;クサホナミ、黄熟期収穫)またはオーツヘイ(オーツ区;輸入乾草)とし、試験2では、稲発酵粗飼料をオーツヘイの約3倍(RWCS多給区)またはオーツヘイと等量(RWCS等量区)給与としている(表1)。
2. 泌乳前期牛(平均分娩後日数45.5)を用いた試験1では、両区ともTDN、CP充足率が100%を下回る。CP充足率はオーツ区が低い傾向を示す(表2)。しかし、乾物摂取量には両区に差が認められず、乳量および乳成分にも差が認められない。稲発酵粗飼料主体給与は、オーツヘイ主体給与と比べ乳生産性に差がない(表3)。
3. 泌乳中後期牛(平均分娩後日数124.7)を用いた試験2では、乾物摂取量に差がなく、TDN充足率も100%以上を維持する(表2)。乳脂率でRWCS多給区がやや低い傾向にあるが、その他の乳成分、乳量は両区に差がない。また、試験前後の慣行飼養(トウモロコシサイレージ主体給与)との比較においても両区とも乳量に差がなく(表4)、トウモロコシサイレージを確保する必要性に応じて稲発酵粗飼料主体の給与が選択可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. トウモロコシサイレージが不足しがちな夏〜秋季の飼料設計に役立つ。
2. 本成果は、黄熟期までに収穫し、適正に保管したサイレージを用いた結果であり、同等の成績を得るには適期収穫、良質発酵、良好な保管が必要である。


[具体的データ]

表1 給与飼料の構成
表2 飼料摂取状況
表3 RWCS主体またはオーツヘイ主体給与における泌乳成績(試験1)
表4 トウモロコシサイレージ主体とRWCS主体給与における泌乳成績(試験2)

[その他]
研究課題名:稲発酵粗飼料を活用した泌乳牛への効率的な給与の確立
予算区分:地域農業確立総合研究・関東飼料イネ・受託
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:菅原徹、石井貴茂、関俊雄

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