牛肉の霜降り状態の数値化方法の開発


[要約]
牛肉の霜降り状態を客観的に評価する方法として、画像解析技術を用いてロース芯面積、脂肪含量およびロース芯中の単位面積当りの特定サイズの脂肪粒子数(以下コザシ数とする)を数値化する方法を開発する。

[キーワード]牛肉、霜降り、画像解析、コザシ

[担当]岐阜畜研・飛騨牛研究部
[代表連絡先]電話:0877-68-2226
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  牛肉の品質に関してロース芯中の脂肪の分布状態、すなわち霜降りは非常に重要な形質であり、現状の格付けではロース芯中の脂肪量を示すBMS No.のみが評価されている。しかしながら、同一のBMS No.であっても、霜降り状態は脂肪の分布状態が細かく均一なものから、脂肪が粗く固まったように分布するものまで様々である。一方で牛肉の官能評価試験の結果から、食感に関する柔らかさ、噛み心地、飲み込みやすさの項目に霜降り状態が影響を及ぼすことが報告されている。
そこで、牛肉の霜降り状態を画像解析技術を用いて数値化する方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 牛肉を牛枝肉横断面の高精細画像撮影装置(ミラー式)(早坂理工、HK333)を用いて撮影する。本機器は、高解像度(1,000万画素程度)のデジタルカメラを内蔵し、光学測定用ライン型LEDを利用した照明などにより鉛直方向から一定距離で鮮明に牛枝肉横断面を撮影することが可能であり、1頭当たりの撮影及び画像のメディアへの記録時間は30秒程度である(写真1)。
2. 撮影された画像から画像解析を用いて算出されたロース芯面積と(社)日本食肉格付協会の格付員による格付値との間には統計的に有意な正の相関が認められ、画像解析方法を用いることでロース芯面積を測定することができる(図1a)。
3. 1の画像から画像解析を用いて算出されたロース芯内の脂肪面積割合と、エーテル抽出法を用いて分析した同ロース芯内脂肪含量との間には統計的に有意な正の相関が認められ、画像解析方法を用いることで牛肉中の脂肪含量を推定することができる(図1b)。
4. 1の画像に特殊な画像処理を行い、牛肉の単位面積当たりの特定サイズの脂肪粒子数をコザシ数として算出することができ、霜降り状態の違いを客観的に評価することができる(図2)。
5. 撮影から画像解析に要する時間は1頭当たり2分程度である。

[成果の活用面・留意点]
1. 牛枝肉横断面の高精細画像撮影装置を用いた撮影では装置が枝肉に接触するため、1頭撮影ごとに装置の接触部をアルコール綿等を用いて消毒し、衛生面に留意する。
2. 高精細な画像に対して画像解析を用いることでロース芯面積ならびに脂肪含量を推定でき、従来の格付けあるいは理化学的な分析方法に比べ、多くの試料を迅速かつ客観的に分析することが可能であり、DNA育種分野における連鎖解析や飼養試験の表現型値として用いることで、より高度な解析が可能になる。
3. コザシ数は新しい形質として畜産分野での活用が可能である。


[具体的データ]

図1 画像解析値と理化学分析値との関係.a)ロース芯面積、b)脂肪含量
写真1 牛枝肉横断面高精細画像撮影装置 図2 ロース芯の元画像と画像処理を施したコザシ画像.a)、b):BMS No.8、c):a)の処理画像、コザシ数1.9、d):b)の処理画像、コザシ数3.4

[その他]
研究課題名:育種情報の高度化によるおいしい牛肉の開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者: 丸山  新、口田圭吾(帯畜大・畜産)、中橋良信(帯畜大・畜産)、浅野智宏、加藤誠二、向島幸司、小林直彦、坂口慎一
発表論文等:口田ら(2006)動物遺伝育種研究会 34(2):45-52

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