エキスパンダー加工飼料の配合による採卵鶏の排せつふん量低減化


[要約]
エキスパンダー加工飼料を5%、10%および15%採卵鶏用配合飼料に配合したものを採卵鶏に給与すると消化吸収が改善され、10%飼料配合は、鶏卵の生産性に及ぼす影響もなく、排せつふん量が生ふんで約10%、乾物で約13%減少する。エキスパンダー加工飼料の利用は、排せつ量を減少させ、環境負荷の軽減に寄与する。

[キーワード]エキスパンダー加工、飼料配合、排せつふん量低減、採卵鶏

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  飼料消化率の悪い鶏の排せつ物中には窒素、リンなどが多く含まれるため、土壌への過剰施用による環境への影響が懸念されている。また、鶏ふんの処理は大変労力を要する作業であり、高齢化などによって労働力が減少している農家では減量化が望まれている。このため各形態の飼料の利用と給与方法を検討することにより飼料効率の改善を図り、排せつ物による環境負荷の軽減化を進める。今年度は、エキスパンダー加工飼料(とうもろこし、マイロ、魚粉等)を配合した飼料を給与し、生産性、排せつ物量およびその成分への影響等について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 排せつふん量は、生ふん、乾物とも配合区で減少がみられ、10%区と15%区が対照区に対して有意に少ない(P<0.01)(表1)。
2. 排せつふん中の窒素、リン含有率にも差がなく、この結果、排せつ窒素とリンの総量もそれぞれ8.2%〜17.6%、4.1%〜14.3%低減する(表2)。
3. 飼料摂取量や飼料要求率には、有意差はみられない。試験終了時(64週齢)の体重は、配合区において減少傾向がみられ、15%区では有意に小さい(P<0.05)(表3)。
4. 産卵率は、配合の影響はみられない。平均卵重および産卵日量は、配合区にやや少ない傾向がみられ、平均卵重の15%区で有意に小さい(P<0.05)。卵質検査では、配合の影響はみられない(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 現在、給与試験に使用したエキスパンダー加工飼料がコスト高となるため製造中止になり、販売されていない。
2. 21週齢(141日齢)〜64週齢(448日齢)の成績である。


[具体的データ]

表1 排せつふん量成績(上段:生ふん、下段:乾物、g/羽・日)
表2 窒素およびリンの排せつ量成績(21〜64週齢)
表3 飼料および体重成績(21〜64週齢)
表4 産卵成績(21〜64週齢)

[その他]
研究課題名:飼料原料の加工方法の違いによる採卵鶏の排せつふん量低減化の検討
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:徳丸洋一

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